ねじの寸法を測定する
ねじには、内径や外径、谷の径・有効径・ピッチなど、多くの測定ポイントがあります。また、1つ1つの山の形も重要です。その中でも、最も重要な測定は、谷の幅と山の幅です。この2つが等しくないと、ねじは正常に機能しません。一般に販売されているねじの場合、検査済みなので測定の必要はないかも知れません。しかし、自作したねじや、特に精度が要求される箇所に使用するねじの場合は、高精度な測定機器での計測が必要です。
マイクロメーターによる測定
手軽な測定器具であるマイクロメーターでは、おねじの外径と谷の径・有効径、めねじの内径と谷の径・有効径を測定することができます。マイクロメーターは、約1/100mm~1/1000mmの精度で測定することができます。
測定の方法
マイクロメーターは、測定物との接触が面であるため、谷の径を測定する場合は点で接触できる接触子を取り付けて測定します。また、有効径を測定する場合は、「ねじマイクロメーター」を使います。ねじマイクロメーターは、アンビル側の測定子がV型の溝になっており、ここに測定子のねじのフランクを接触させてから、スピンドル側をねじの溝に挟んで測定します。めねじは、「内側マイクロメーター」で測定します。内側マイクロメーターは、両端が測定子になっています。
測定用三針とマイクロメーターによる測定
おねじの有効径は、「測定用三針」という測定器具をマイクロメーターと組み合わせると、より高精度で測定できます。ここでは、三角ねじの測定を例に、その方法を説明します。
測定の方法
①ねじをVブロックなどに固定し、測定用三針の3本の針でねじを挟んでマイクロメーターで外径の寸法を測定します。
②マイクロメーターで測定した値を以下の式に代入して計算し、おねじの有効径を求めます。
- d2:有効径
- M:マイクロメーターでの測定値(三針を含む外径測定値)
- d:測定用三針の直径
- P:ねじのピッチ(ユニファイねじの場合はインチに換算)
③手順①と手順②をねじの先端部、中央部、根本部に対して、それぞれねじを90°ずつ回転させながら繰り返します。
ゲージによる検査
ねじの検査には、検査するおねじの基準となるめねじ、めねじの基準となるおねじをはめ合わせて確認する方法があります。この基準になるねじのことを「ねじゲージ」といい、ねじゲージには「標準ねじゲージ」と「限界式ねじゲージ」があります。また、ねじのピッチは「ピッチゲージ」で検査することができます。
ねじゲージでの検査方法
標準ねじゲージは、精密な基準山形と基準寸法で作られた「プラグゲージ」と「リングゲージ」のセットになっています。このゲージを検査するねじにはめ合わせて、通り抜けの感覚を検査します。
限界式ねじゲージは、「通り」と「止まり」の寸法差のねじです。ねじ部品に設定されている公差の上限と下限を検査する測定器具で、「プラグゲージ」と「リングゲージ」のほか、「めねじ内径用プラグゲージ」や「おねじ外径用挟みゲージ」、点検用の限界ゲージなどがあります。
限界ねじゲージによる検査は、限界ねじゲージがスムーズに通り抜け、止まりゲージが2回転以上ねじ込まれない場合を合格と判定します。
以上から、ゲージは、あくまでも正常に機能するかどうかの検査を行う器具であって、寸法を測定する器具ではありません。
ピッチゲージでの検査方法
ピッチゲージは、ピッチを簡単に検査する器具です。各種寸法のピッチ形状を検査するゲージが複数枚束ねられていて、その中から検査するねじに適合するゲージを選んで使用します。ゲージをねじ山に当てて、隙間がないかを検査します。
画像寸法測定器による測定
画像寸法測定器は、測定対象物をイメージセンサーで捉え、そのデータを画像処理し各部の測定値を算出・表示する非接触測定器です。
照明用のLEDや受光レンズ・撮像素子から画像処理に至るまで、測定に適した工夫が施されています。このため、位置決めやピント合わせなど、測定者の技量による計測誤差はありません。また、操作方法も特別な習熟を必要としないよう配慮されています。
画像寸法測定器は、同時多点測定が可能であるため、ねじ山の角度や谷径・外径・有効径さらにピッチを一度に測定し、測定値をその場で確認することができます。