エレクトロガスアーク(EGW)溶接
船の側外板や架橋や貯槽タンク、圧力容器といった立向突合せ継手に適用される「エレクトロガスアーク(EGW)溶接」。そのシールドガスや溶接ワイヤ、溶接機などの特徴を紹介。
エレクトロガスアーク(EGW)溶接は、厚板を立向姿勢で高能率かつ安定した溶込みによって溶接するために開発された、消耗電極式の溶接法です。1960年代当初は厚板への対応から、造船や建造物の鉄骨、架橋など主に大型の造形物に適用されてきましたが、その後、装置の改良により薄板への対応や狭開先化で用途が広がりました。
EGWは、シールドガスには炭酸ガスを用いることが多いのですが、アルゴンのみを用いたりアルゴンに炭酸ガスまたは酸素を混合したガスや、アルゴンにヘリウムを混合したガスも用いられます。溶接ワイヤにはスラグを形成して優れたビード外観が得られるフラックス入りワイヤを使う場合が多いですが、ソリッドワイヤが用いられる場合もあります。
溶接電源には、直流定電圧特性電源または直流定電流(垂下)特性電源が用いられます。
溶融池を母材端と銅当て金や耐火性裏当て材などで囲み、溶融金属の垂れ落ちを防止しつつ立向上進溶接をするため、厚板を1パス(1回の操作)で溶接することができます。
大電流を使用するため溶着速度が高く、高能率な溶接ができ、また、角変形が小さく開先精度に対する裕度が比較的大きいといったメリットがあります。
用途としては、船の側外板や架橋から、貯槽タンク、圧力容器といった立向突合せ継手の溶接に適用されています。