気体レーザーと固体レーザー・半導体レーザーの違い
レーザー溶接に使用するレーザーは、媒質に気体・固体そして半導体を使います。
出力されるレーザー光は、媒質によって発振形態や出力、変換効率が異なります。
ここでは、それぞれの特徴について説明するとともに、レーザー溶接にとって大きな要素である発振形態についても説明します。
媒質によるレーザー光の違い
媒質の違いによる発振形態・出力・変換効率の違いは、以下の通りです。
発振形態(P:パルス、CW:連続) | 出力(P:パルス、CW:連続) | 変換効率(%) | ||
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気体レーザー | CO2 |
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固体レーザー | YAG |
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半導体レーザー |
GaAs(ガリウムヒ素) InGaAsP(インジウムガリウム砒素リン) |
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発振形態について
レーザーの発振形態には「パルス発振」と「連続発振」があります。パルス発振はレーザー光の強度や波長・位相をコントロール(光変調)しパルス波を発生させる形態です。レーザー発振器のQ値を制御することでパルスを発生させるQスイッチレーザーなどの方法があります。「Q値」というのは、蓄積されたエネルギーに対する周期ごとに消費されるエネルギーの割合のことで、以下の式で表すことができます。
Q=(2π・蓄積エネルギー)/(周期ごとの消費エネルギー)
また、発振形態によって、溶接ビードは以下のように異なる形状になります。
- A
- 溶接ビート
- B
- レーザー光
- C
- ビーム移動
- D
- 加圧
固体レーザー
固体レーザーとは、レーザー媒質にイットリウム・アルミニウムおよびガーネットといった鉱石(YAG)やイットリウム・バナデート結晶(YVO4)などを使ったレーザー光です。固体レーザーは単位体積あたりのレーザー出力が大きいため、共振器が小型であっても大きなレーザー出力を得ることができます。
- A
- 全反射鏡
- B
- レーザー光
- C
- 励起光源(ランプ・LD)
- D
- YAG結晶
- E
- 部分反射鏡
- F
- レンズ
- G
- 光ファイバー
- H
- レンズ
- I
- 被加工物
気体レーザー
気体レーザーとは、レーザー媒質にCO2などを使ったレーザー光です。固体レーザーなどに比べてレーザー媒質が均質で、損失が少なく、共振器の構造を大きくとることができるため大きなレーザー出力を得ることができます。
- A
- 全反射鏡
- B
- 電極
- C
- レーザーガス
- D
- 部分反射鏡
- E
- レーザー光
- F
- 金属ミラー
- G
- レンズ
- H
- 被加工物
半導体レーザー
半導体レーザーとは、Ⅲ-Ⅴ族半導体または、Ⅳ-Ⅵ族半導体を使ったレーザー光です。どちらも小型の装置で大きなレーザー出力を得ることができます。半導体は固体の一種ですが、レーザー技術の分野では固体とは別に分類される場合もあります。