ろう付け
ろう接の中でも、高融点のろう材を使用する「ろう付け」。この熱源にレーザーを使うことで実現した「レーザーブレージング」を例に、ろう付けの原理と可能性を解説します。
高融点のろう材を使用するろう接です。
熱源には、通常のガス溶接用トーチを使用する「トーチろう付け」、高周波誘導加熱を利用する「誘導加熱ろう付け」があります。他に、フラックスを使用せず大気を遮断した炉内で母材とろう材を加熱・冷却することによってろう付する「雰囲気ろう付け(炉中ろう付け)」などもあります。これらの溶接法は、ステンレス鋼の無酸化ろう付けや、チタン、セラミックなどの接合の自動化に用いられています。
また、近年は「レーザーブレージング」と呼ばれるろう付け技術が脚光を浴びています。
「レーザーブレージング」は、母材間にワイヤ状のろう材を供給しながら、光エネルギー(レーザー)でろう材を溶かして接合させる工法です。母材をほとんど溶かすことがないため、熱変形を最小限に抑えることができます。製品のデザイン性を損ねることなく、軽量かつ高剛性な接合が可能です。
従来より自動車のルーフやサイドパネル、トランクリッドなどの接合工程では、抵抗スポット溶接の適用が一般的でした。例えば、ルーフとボディの接合では、溝状のモヒカン部を設けて抵抗スポット溶接を施し、接合後にモヒカン部の溝と溶接の跡を隠すためにモールでカバーする工程が必要でした。
しかし、「レーザーブレージング」では、母材の美観を維持することができるため、モヒカン部やモールといった加工や部品、工程を省略することができます。また、抵抗スポット溶接と比べて約2倍の継手強度と接合スピードを実現するといわれており、自動車業界を中心にヨーロッパをはじめ日本国内でも広がりをみせています。