朝日信用金庫は1923年8月に東京都台東区で創立、1ヶ月後に関東大震災が起きたため、図らずも地元経済の復興を金融面で支える役割を担うことになりました。その後も台東区、江戸川区を中心に、卸売業など中小企業の経営、地元の皆さまのくらしに貢献してきました。
信用金庫の営業は直接対面が基本です。担当するエリアを自転車で回り、お客さまの様子に目をくばり、都度、必要な金融支援をご提案する、あるいはご相談を受ける、そんな形を大事にしてきました。
この直接対面は信用金庫の顧客価値の根本であり、今後も堅持します。しかし近年、金融業界では外部環境が激変しています。その変化は一過性のものでなく、将来にわたる恒久的な構造変化と予想されます。
それを考えれば、今の直接対面だけでは、将来的な顧客ニーズに対応しきれない可能性がある。この中期的な危機感は、経営層を中心に根強くありました。その解決手段としてのデジタル化の推進は、長年に渡り当庫の課題であり、これまでもさまざまな取り組みを展開してきました。
このデジタル化は、2020年に始まったコロナ禍を契機に、決定的に加速しました。緊急事態宣言のときは、顧客との直接対面が根こそぎ不可能になり、当庫にとっても大きな打撃でした。しかし一方でその状況を、「デジタル化を推進する一大好機」ととらえ、すでに発足していた「業務改革プロジェクト」をさらに強化しました。
まず、これまで営業担当者がお客さまを訪問して集めていた定期積金については、コロナ禍により対面でのお取引に不安を感じるお客さまも多くいたため、自動振替への切替を推奨しました。その結果、最終的に自動振替率が8割まで高まりました。さらにペーパーレスも推進し、支店での書類保管を極力廃止したところ、多くの支店で、以前は書庫だった空間が、会議室など別の用途に使えるようになりました。また、テレワーク環境も整備し、自宅からでも稟議書の作成を始め、さまざまな業務がおこなえるようIT体制を整えました。加えて「データ分析」も重点的に進めました。