ノヴィルホールディングス株式会社

ノヴィルホールディングス株式会社 PEサポートグループ営業支援チーム シニアマネジャー 増田 靖史氏、ミリオン中吉野店 マネジャー 西野 久永氏、経営企画グループ シニアマネジャー 本那 宗和氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「社内で11のプロジェクトチームを発足。全社横断的に、データ分析を推進しています」

ノヴィルホールディングス株式会社について

ノヴィルホールディングス株式会社はパチンコホール事業を中心に、飲食、ゴルフ、中古車販売、自動車修理、タクシー、パワープラントなど多角的に事業展開している企業です。パチンコ事業では全国10位の規模です。本拠は徳島県徳島市。

創業 昭和26年
年商 752億7000万円(連結)
従業員数 2200名(連結)

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

活用状況・効果

活用状況

  • ・11のプロジェクトチームでKIを活用。チームは公募を通じて結成
  • ・1日平均20名が、日常的にKIを活用
  • ・社内向けウェビナー形式のイベントを、定期開催。KI認知度を拡大中

導入後の変化

  • ・KIで顧客の来店間隔分析を実施。そこで得た新たな知見により、ダイレクトメールを送付する施策を実行し、成果に繋げる
  • ・これまで有効活用できていなかった数千万件の会員行動を、KI導入により定常的に分析し、PDCAを回せるように
  • ・データという共通言語により、社内の横のつながりが円滑に。結果、意思決定も高速化

11のプロジェクトチームで、データ分析を推進

ノヴィルホールディングスではKIをどう活用していますか?

事業分野ごと、プロジェクトごとにデータ分析をおこなっています。現在、パチンコ事業、ベンディング(自販機補充)事業、アミューズメント事業、ゴルフ事業、など事業部門で7チーム、財務、人事などの管理部門で4チームの計11チームがそれぞれデータ分析をおこなっています。

まずパチンコ事業では、顧客行動を分析しています。顧客がどの店舗に行き、どの台(例えば「海物語」)を使っているか、来店間隔や遊技履歴のデータを分析し、行動の内容や傾向を把握します。

その分析結果に基づき、ダイレクトメールのリストを作成し、送付した後は、リスト内の顧客が実際に来店しているかの効果検証をおこないます。

また自動販売機補充の事業では、商品の売れ行きデータの分析を通じ、商品補充のために巡回するベンディングカーが、このルートならどんな飲料をどのくらい積み込むべきかを最適化しています。

車ごとに、出発時に積み込んだ商品と、帰社時の残り商品を比較分析することにより、例えばどの担当者、どのルートの補充率の効率が良いかを把握し、無駄のない商品補充やルート選定に繋げていきます。

温浴施設事業、ゴルフ事業では顧客データ、行動履歴データを使い、ダイレクトメールの反応率や、店内の声かけの効果向上などを図ります。

特に温浴施設事業では、回数券の分析に力を入れています。回数券を買うのは、いわゆる「常連のお客様」ですが、では「常連で回数券を買ったことのあるお客様」「常連だけど回数券を一度も買ったことのないお客様」、「常連で、かつ定期的に回数券を買ってくださるお客様」は、それぞれどう違うのか、その傾向を把握していきます。

データ分析を通じ、景品交換と来店頻度に関連があることを発見

パチンコ事業では、来店間隔の分析もおこなっています。来店間隔がどのくらい空けば、来店頻度に影響するかといったテーマを、KIのAFE(機械学習)機能を使い、検証します。

分析結果の一例として、「24日を過ぎると次回来店率が下がり、さらに、そこから70日が過ぎた94日後には、離反する可能性が高まる」といった、人力ではとても辿り着けなかったような知見が得られました。

そして、それを防ぐべく、特定のタイミングでダイレクトメールを送るようにしました。従来は年に2、3回の頻度でしたが、今は、更にタイミングや送付先を見定め、高頻度で送るように変化しています。

パチンコの店舗では、会員のお客様に来店ポイントが貯まる仕組みになっています。この来店ポイントを販促の材料として有効に活用できないか。KIによる分析をおこない、企画しました。

来店ポイントについては、面白い分析結果があります。実は、十分な来店ポイントを持っていて、かつそれを入浴剤やティッシュなど景品に交換をした顧客と、交換しなかった顧客とでは、前者の方が、リピート来店率が高いことが分かりました。景品交換をした顧客は、どの期間で切り取っても離反率が低い(=来店率が高い)のです。

となると、自然に「顧客に積極的に景品交換をしてもらおう」という方向で施策を打つことになります。たとえば景品の最低交換ポイントが今まで仮に10ポイントだったとしたら、それを7ポイントとか5ポイントとかに下げていくような施策です。

ダイレクトメールで「お客様には今、ポイントがこれだけあります。いついつまでにぜひ交換してください」と告知する活動も始めました。すると、そのダイレクトメールを送付した顧客と、していない顧客で、その後の来店率は前者の方が上期で20.5%上昇、下期では32.2%上昇という結果が出ました。これは大きな伸びといえます。

従来は、遊技台や店舗など「モノの分析」が主な対象でした。現在は、お客様や店舗会員など「ヒトの分析」に積極的に取り組めるにようになった。これは、新たな視点を生まれた感覚があります。

プロジェクトチームを公募。データ分析の社内イベントも開催

社内では、どのようにKIを推進されていますか?

KIを導入する前も、データ分析には積極的に取り組んでいました。ただ各部門、特にパチンコ部門に蓄積されている大量のデータは、まだ十分に使いこなせてないという思いがあり、KIを使えば、さらに分析が進められるのではと期待がありました。その後、社内で協議した結果、KI導入が決まりました。

導入後は、キーエンスのデータサイエンティストと話し合う中で、データ分析においてはチームを作って取り組む方がよいと勧められ、社内でプロジェクトチームを組むことにしました。

当初は社内で、「こういうプロジェクトがありますけど、興味ある方はどうぞ」のように、オープンに公募しました。そこで手が挙がった社員を中心にチームを組み、最初は4チームから始め、今は11チームにまで展開しています。

また、社内にKIを浸透させるために、社内イベントも開きました。これもデータサイエンティストからの推薦です。すでに2回実施し、今後も定期開催を予定しています。

2回目の開催では、まだKIを触ったことがない社員にも見てもらいたいと考え、社内HPにKI特設ページを設け、ウェビナー形式で実施しました。

ウェビナーの中では「現在、KIというキーエンスの分析ツールを使っている。このようなデータ分析に取り組んでいる」と、具体的な分析テーマや効果も交えて報告しました。データサイエンティストにも、「データ分析とは」といった内容で、講演いただきました。この他、各プロジェクトリーダーが、自チームの進捗について発表しました。そこでは、各チームでの具体的な施策内容やその効果を把握することができ、全社への認知度拡大、という意味では非常に効果があったと感じています。

ウェビナー後はアンケートを取り、「データ分析に興味ありますか」「KIに興味ありますか」と尋ねたところ、興味・関心度は高く、満足度としても非常に良好な数字でした。

個人ではなく、店舗全体が顧客満足を実現できる体制を

KI導入後に、どんな変化があったか教えてください。

パチンコ事業では、売上や顧客データは本部で集約されているものの、各店舗によるアクセスやデータの利活用という点では、課題を感じていました。例えば、とある店舗が分析をおこなう際には、主に自店舗のみのデータが対象となり、他店舗との相対比較などは難しいケースがありました。しかしKIでは、社内に点在しているそれぞれのデータを連結しリレーションを取り、様々な形で容易に組み合わることが可能です。この機能を使い、全社、全店のデータを集め、店舗ごとの差、会員ごとの差を分析することができます。

パチンコ事業では、遊技台関連だけでも1日に約2万件のデータが蓄積されています。会員データを含めると、すでに数千万件のデータが蓄積されています。KIでは、そのように大量データでも高速で可視化できます。自分では分かっているのに、他人に説明しにくい、そんなときでも、KIを使えば、こちらの意図を簡単に見える化し関係者と共通認識を持つことができます。

一方で、KIを使って全社的にデータ分析を推進していく中で、論理的や建設的な思考、それを分かりやすく伝えることの重要性を日々、痛感しています。いわゆる「空雨傘」、空模様を見て、雨が降りそうだなと予想し、傘を用意するという、基本の考え方です。キーエンスのデータサイエンティストとのやり取りを通して、「データ分析」そのものに対する考え方や、社員の行動変化への繋げ方など、様々な角度からのインプットがあります。それが徐々に社員全体に広がっていくことで、最終的には、データ分析の目的である「業績を上げる」ことに繋がっていく、という期待感があります。

もしデータサイエンティストがいなかったら

データサイエンティストへの評価をお聞かせください。

データサイエンティストとは、定期的に議論の場を設けています。その定例会には、社内のKIユーザーが毎回20名~30名ほど参加しています。

データサイエンティストには、データ分析の知識や技術だけでなく、先ほどお伝えした社内での進め方、基本的な考え方もアドバイスいただいています。プロジェクトチーム発足も、そのようなアドバイスから生まれました。

データサイエンティストがいなかったらプロジェクトチームもできていなかったし、ここまで社内でうまく回せていなかったでしょう。

KIはなくてはならない存在

KIは皆さんにとってどのような存在ですか?

なくてはならない存在、と言えます。今となっては、KIによるデータ分析なしでの営業推進は考えられません。知識面や分析方法、施策への繋げ方など、あらゆる点で従来とはまったく違う感覚です。また、データという共通言語を通じ、社内の横の繋がりが円滑になっていると感じます。社内の潤滑油のような存在です。結果として、意思決定のスピード感にも変化が出ていると考えています。

今後、社内のKIユーザーはさらに拡大していく計画です。社内インフラに溶け込むような、「当たり前の存在」に早くなっていってほしいですね。キーエンスにはそうした弊社の取り組みを優れた技術、製品、サポートを通じ、後方支援いただくことを希望しています。引き続き宜しくお願いします。

ノヴィルホールディングス株式会社

「社内で11のプロジェクトチームを発足。全社横断的に、データ分析を推進しています」

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