近畿産業信用組合

近畿産業信用組合、執行役員 営業統括部第一部・第二部 部長 高 正和氏、経営企画部 副部長 白原 敏光氏、営業統括部第二部 課長 松田 建次氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「データ分析に対し、過大評価も過小評価もせず、『ふつうのこと』として取り組んでいます」

近畿産業信用組合

近畿産業信用組合は、大阪に本店を置き、大阪、京都、兵庫、滋賀、奈良、和歌山の近畿2府4県と岐阜、長崎を営業地区とする金融機関で、信用組合では日本最大規模です。

総預金 1兆4,139億円
総貸出金 9,834億円
店舗数 33店舗
役職員数 789名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。(2022年3月期決算時)数字の一部は概数で記述しています。

部門横断のプロジェクトチームを組む

近畿産業信用組合では、KIをどう使っていますか?

(白原氏) 近畿産業信用組合では、「KI分析チーム」という部門横断的なプロジェクトチームを設け、本店の各部門でKIの活用に取り組んでいます。参画しているのは、現時点では、営業統括第一部、同第二部、経営企画部、経理部、事務部、人事部、審査部の計7部門です。

各部門から最低1名を選抜し、現在は10名体制。人員は各部門の部門長が選定しました。要件は「若過ぎず、ベテラン過ぎず、ある程度業務を理解しており、かつ新しい取り組みに前向きの人材」というものです。

プロジェクト責任者は営業統括部門の部門長である高、事務局は経営企画部門の私が担当しています。この他、「全体を引っ張る役割」としてのアンバサダー(大使)という分担もあります。現在のアンバサダーは営業統括部第二部の松田です。

チーム内では、1時間程度の月次定例会を、キーエンスのデータサイエンティストも交える形で設けています。立ち上がりの当初半年は、会議の内容は、KIの使い方学習のようなものでした。しかし現在は、各部門が「今こんな分析にこのように取り組んでいる」という現状報告、そして「これからこういうデータ分析をやっていく」という企画報告、さらにそれに対し「それと似たテーマを自部門でもやった。こういうデータモデルで取り組んだ。参考になれば」などノウハウ共有などをおこなっています。互いが刺激、指摘し合う場です。

各部門での取り組み

各部門ではどんな取り組みをしているのですか?

まず経営企画部では、「事業計画分析、ATMの妥当性分析、マネーロンダリング対策」への取り組みを検討しています。事務部では、「膨大な事務データ、ITデータの分析を通じた各部門の業務改善のヒント獲得」、人事部では、「成績優秀者や退職者の特徴分析、それによる人員配置の最適化の実現」などへの取り組みを進めています。

営業統括部では、各種商品・サービスの営業ターゲットの抽出にKIを使っています。分析するデータは、顧客の年齢や世帯構成など「属性情報」、預金の入出金状況や契約商品などの「取引情報」、そして渉外状況など「接触情報」の大きく3つです。

分析の方法ですが、たとえば投資信託の営業の場合、まず過去、実際に投信を購入した既存顧客のデータを分析し、特徴量を導出することから始めます。特徴量を知るとは、「過去、投資信託を購入した人には、このような特徴がある」という傾向、共通点を認識することです。その上で既存顧客の中から、その特徴量に合致する見込み客を抽出します。その名簿に対し、DM送付や電話、訪問などの働きかけをおこないます。

他部門での使い方も本質的にはこれと同じで、「まず過去実際に○○した人の傾向を調べる。その後、それと同じ傾向の人を抽出し、そこに働きかける」となります。

KIを導入した大きな目的は、データ分析の文化を組合内に定着させ、「分析を、あたりまえのことにする」ことにより、より効率的で適切性の高い業務遂行態勢を確立することです。今はアンバサダーやプロジェクトチームを設けて、意識的に「盛り上げる」ということをおこなっていますが、将来はそうした作為なしでも続く、「あたりまえのこと」にいきたいと考えています。

KI導入の経緯

近畿産業信用組合が、データ分析に積極的に取り組むようになった経緯を教えてください。

(高氏) 営業業務にデータを活かしたいという思いはそれこそ、私がまだ現場のいち行員だった30数年前から、頭にありました。しかし当時は紙と電卓の時代で、データの集積・検索・抽出などの仕組みや文化はまだありませんでした。その後IT化により、データの電子化が進み、その気になれば利活用も可能になった。しかし、それには、まだまだ手間も時間もかかり、現場行員が気軽に分析できる環境とはいえなかった。何か良い道具があれば、いよいよデータ分析を現場で本格実行できるのだが...というのは私だけでなく皆に共通する思いでした。そんなとき、白原がKIを見つけてきました。

(白原氏) KIのことは業界内の知人を通じて知りました。その知人から「今度、キーエンスが来てKIのデモをする」と聞き、興味があったのでデモに同席させてもらいました。従来よりデータ分析ツールの導入は、何度も検討し、多くのツールをみてきましたが、どれも専門的な知識を持っていないと活用が難しいもので、導入は困難と感じていました。しかし、KIのデモを見て、「これなら分析の専門知識を持っていない私たちでも使える。そして、しっかりと活用できそうだ。」と感じました。

さっそくキーエンスに依頼し、近畿産業信用組合で改めてデモをしてもらいました。出席したのは各部門の部門長です。皆やはり、それぞれデータ分析の必要性を認識しており、反応は肯定的でした。

その後、経営層に向けてプレゼンしたところ、「ぜひやって、成功させなさい」と力強い反応がありました。とはいえ費用については説明を求められました。これについてはKIの取引形態である「1年ごとの契約」という点が、背中を押してくれました。検討段階で何か懸念が出るたび、「1年契約です。まずはやってみましょう」と伝えました。

またキーエンスのデータサイエンティストによる伴走サポートの存在も、大きな安心材料となりました。こうしてKIの導入が決定しました。

プロジェクトチームを作った経緯

その後、どういう体制で進めたのでしょうか?

データ分析の推進体制について選択肢は大きく2つ。「社内で『専門家』を育成し、そこにデータ分析を託す」か、あるいは「各部門が自力でデータ分析できる『自給自足』体制にする」かどちらかです。

まず「データ分析で課題を解決するために重要なことは何か」から考え、その結果、「課題を設定する力、課題解決への強い意志」、要は当事者意識とやる気が重要だという結論に至りました。その2つが備わっているのは、やはり「現場」です。やはりデータ分析は現場で自給自足すべきという結論に至りました。

こうして部門横断型のプロジェクトチームを作ることが決まりました。運営体制は、冒頭述べた通り、事務局長は私白原、統括責任者は高、アンバサダーは松田としました。

サポートサイトへの評価

松田さんに質問です。アンバサダーに任命されていかがでしたか?

(松田氏) 「仕事上の拝命なので当然やる」という気持ちに加え、「これはチャンスだ」とも思いました。まずアンバサダーという立場なら、データ分析に具体的かつ真剣に取り組める。さらに部門横断のプロジェクトチームに参加することで、各部門の現場の課題をリアルに知り、それを通じ組合全体の仕事のしくみ、つながりが理解でき、自己成長の機会になると思いました。

この他、プロジェクトに参加しデータ分析に習熟したことで、自分の従来業務も合理化されるという副次効果もありました。というのもKIが実は、「データ集計の道具」としても使えたからです。

営業企画の仕事では、データ集計を頻繁におこないます。以前はエクセルのみを使っていました。最近では、大きなデータを集計する場合は、KIを使った方が、時間短縮になる為、KIを積極的に活用しています。

この他、KIはサポートサイトも非常に良かったです。

「サポートサイトが良かった」とは具体的には?

(松田氏) KIのeラーニングサイト上には、KIの活用方法を説明する動画が数多く掲載されています。これが非常に役立ちました。私は知らないことを学ぶとき、座学で話を聞いたり、電話で質問したりするより、動画を見て学ぶ方が合っています。動画なら、場所や時間を選ばず見られるし、倍速の高速再生や、飛ばし見も可能です。

(白原氏) 若い世代は動画を好むようです。その嗜好に対応したサイトがあるのは良いことです。私も動画を見ましたが、これなら誰でも理解し、習得し易い内容と感じました。

事務局、アンバサダー、統括責任者として先行ユーザーからのアドバイス

現在、KIの活用を検討している企業に向けて、先に使っている立場からアドバイスなどあればお聞かせください。

(白原氏) 自戒をこめての発言ですが、「データ分析を、過大評価も過小評価もせず、等身大で見る。そして、やってみる」ことが重要かと考えます。

過大評価とはまず、データ分析ツール「さえ」導入すれば、すべてが一気に解決する、魔法のように風景が一変すると期待することです。あるいはデータ分析は、一般人にはとても手が出せない難解な代物と思い込むことも、過大評価の一種です。

一方、過小評価とはその裏返しで、「データ分析ツールを導入しても何も変わらない」と失望したり、「これでは現場では使えない」と見下したりすることです。

しかしデータ分析といっても、結局は四則演算、足す引く掛ける割るの集まりであり、本来、それほど難しいことでないはずです。ただ、計算量があまりに膨大なので人の手に負えず、だからKIなどの道具に頼ることになる、そういう話だと思います。

データ分析は、最初とっつきにくくても、専門家の指導を受けて取り組めば、誰でもできるようになる、これがこの1年で確信したことです。過大評価も過小評価もせず、「ふつうに」取り組むのが重要だと考えます。

(松田氏) アンバサダーを始めた当初、分析結果を周囲に見せると「それは当たり前(そのような結果は、分析しなくても普通に考えればわかる)」という反応がありました。しかし「当たり前の話」とは「正しい話」のことでもあり、ツールが正しく動いていれば、初期段階でそれが出て来るのはある意味、当然です。本当の分析は、その先にあります。

立ち上がり時期の「当たり前じゃないか」の声には、内心では「この先、営業の行動変化に繋がる、営業が納得できる分析結果を出そう」と心を奮い立たせていました。

(高氏) 私はプロジェクトの統括責任者ですが、このチームでは、決まり事を増やさぬよう、秩序を強制しないよう気をつけています。全員が自由に動ける、フラット感のある場所、自由に動き回れる環境を作ること、それが私の仕事です。ただフラット感に伴なう、「無責任感」「誰も何もしない感」は防ぐ必要があるので、そこはアンバサダーと話し合いながら、適宜、燃料投下をおこなっています。

今後の期待

キーエンスへの今後の期待をお聞かせください。

近畿産業信用組合は今後も、選ばれる金融機関であるべく尽力していく所存です。キーエンスには、私たちのそうした取り組みを、優れた技術、製品、サポートを通じて、支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

近畿産業信用組合

「データ分析に対し、過大評価も過小評価もせず、『ふつうのこと』として取り組んでいます」

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