株式会社オークネット

株式会社オークネット オートモビル事業部門 AM事業戦略室 GM 中山安宏氏、AM事業戦略室 中島康一朗氏、アライアンス部 MGR 三浦翔太氏、アライアンス部 清水裕貴氏、新規営業部 GM 中田智氏、新規営業部 西日本グループ 統括マネージャー 竹下学氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「新規営業の反応率が3%から20%に向上し、データ集計工数もほぼゼロに削減されました」

株式会社オークネットについて

株式会社オークネットは、リユース市場におけるBtoBの会員制オンラインオークションを中心に事業を展開。中古車をはじめ、中古デジタル機器、ブランド品、花き、中古バイク、中古医療機器などのオンラインオークションおよび、循環型流通のコンサル・構築・運営をおこなう企業です。

創業 1985年
年間売上高年 404億円(2022年12月期)
連結従業員数 860名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

活用状況・課題・効果

活用状況

  • ・DM、テレマーケティングの反応率をKIによるリスト抽出により3%から20%に大幅改善◦生産上の不適合を低減するための分析
  • ・上位プランへのアップセル施策について、会員の属性、行動、傾向に応じた最適の接触活動を、データ分析により実施
  • ・毎月20~30時間の集計作業が、ほぼゼロに大幅削減

導入前の課題

  • ・業務への「慣れ」により、経験や勘に頼るケースあり
  • ・過去にBIツールを導入していたが、全社浸透せず縮小傾向に

KIへの評価、導入効果

  • ・人材育成、環境整備、データ整備を実現する伴走支援を高く評価
  • ・データを基軸として会話する企業文化醸成の一助に

新規営業の反応率が3%から20%へ

KIの活用状況を教えてください。

KIは、オートモビル事業部門の新規営業部によるアップセル施策、および会員への車両落札促進、そして各種データの集計などで活用しています。

新規営業部によるアップセルの例ですが、従来はDMを送ったのち、テレマーケティングで追客することによる反応率は3%程度でした。しかしKIで顧客を分析し、訴求対象を、高スコア上位100社に絞ったところ、反応率は20%にまで向上しました。実は社内では、以前の3%をなかなか良い数字であると見ていました。そのため、20%という結果に驚くとともに、会社からはデータ分析の活用を高く評価されました。

アップセル、付帯サービス営業の「勝ち筋」を模索

具体的にデータ分析をどのように活用しているのですか?

弊社のサービス体系では、下位プランは、月額基本費用は安いものの、1取引当たりの手数料はやや高めです。一方、上位プランは基本費用が下位プランに比べて高いものの、1取引当たりの手数料は安くなっています。ということは、取引量が増えていった場合、どこかのタイミングで、上位プランをご利用いただいた方が費用総額は安くなるわけです。

そこで従来は、「取引量の多い会員」をリストアップし、「今の月間取引量なら上位プランに切り替えた方がお得ですよ」というトークで、取引量の多い会員順に上から営業していました。

ただし、本当にそのやり方が最適なのかという少しの疑念もありました。オークション会場は全国に108か所あり、各会場はそれぞれの特色を持っている。もしかしたら会場ごと取り扱いの多い車種やメーカーなど何らかの偏りがあるかもしれない。各会員がどの会場でどんな買い方をしているのか、その傾向をよく分析するべきではないかと。

そうした考えのもと、これまで実際に上位プランへ移行した会員の属性、行動を分析し、有意な特徴量を見つけ出し、それを営業活動に役立てていきます。

この他、「おまとめサービス」の拡大販売でもデータ分析を活用していきます。当社では、全国にある提携オークション会場に出品される中古車をオンラインで落札いただけます。「おまとめサービス」とは、当社がオークション会場へ車両代金の振り込みを代行することで、会員の経理業務とコストの効率化を支援する、付帯サービスです。このサービスを使っている会員にはどういう特徴があるのか、どの曜日に、どのエリア、どの会場を使っているのか、AFE機能(機械学習)を使って分析し、傾向、特徴量を見出していきます。そして「それと同じ特徴を持つ会員」に絞る形で付帯サービスを提案していきます。

その際は、こういう特徴量の方には、こういうタイミングで、こういう形でコールする、のように使っていきたい。データ分析を通じ、営業マーケティングの「勝ち筋」を見出します。

集計作業に要する時間が、毎月20時間からほぼゼロに

KIによるデータ集計について、詳しく教えてください。

KIを使い、社内の各種データを集計しています。従来はExcelで管理しており、都度、集計作業が必要でした。しかしKIに切り替えてからは、データを自動連携させているので、見に行けばすぐ結果が分かるようになりました。

従来、毎月20~30時間かかっていた集計作業時間が、ほぼゼロになり、その時間をサービス改善など会員向けの業務に充てられるようになりました。

KIを使った集計作業の一例ですが、上位プランにアップセルするために、下位プランの会員の落札台数そして、会場ごとの手数料を、日次で閲覧できるようにしています。

アップセル営業では会員に働きかける「タイミング」が重要です。営業担当者は情報を見ることで、「(この会員は)あと何台買ったら上位プランの方がかえって安価になるはず」と認識でき、接触タイミングを計ることができます。

KIは現状本社スタッフのみ閲覧が可能な運用になっていますが、将来的には地方拠点の営業担当者も見られるようにしたいですね。現在は地方の担当者から「こういうデータがすぐ見たい」など依頼が来て、それに本社スタッフが対応していますが、地方拠点でもKIが閲覧可能になれば、より活用の場が広がるのではないでしょうか。

「環境整備、人材育成、データ整備」という提案

KI導入の経緯を教えてください。

KIのことは担当役員から「興味深いツールがあるので一度、調べてみるように」と言われ、知りました。

導入の背景としては、社内、特にオートモビル事業部門が30年以上中古車事業を続ける中で、ある意味、業務への「慣れ」のようなものがあり、さまざまな判断を「経験と勘」でおこなうようになっていた部分があると感じていました。それが本当に正しい解なのか、適切な判断なのか、データを通じ検証する必要があると考えました。

KI導入以前に、2回ほどBIツールを導入したことがあります。しかし「担当者だけが専門家になってしまい、属人化により社内に浸透していかない」「その担当者だけにデータ分析依頼が集中し、社内にデータ分析の文化が根付きにくい」という課題が残りました。

しかしキーエンスから「環境を整備する」、「人材を育成する」、「データを整備する」ことの重要性とそれを支援いただけるとの提案があり、そのようなサポートがあるなら上手くいくのではと感じました。

またKIはキーエンスが、自らのデータ活用のために自社開発したツールだということも説得力がありました。検討をはじめて3か月で発注を決め、その2か月後には稼働開始となりました。

スモールスタートで徐々に浸透させる

KIはどのように社内に浸透させていったのでしょうか?

実はKI導入前に、社内では懐疑的な声もありました。過去BIツールの導入がうまくいっていない、今回もその繰り返しになるのではないか、という懸念です。

そこで今回は、従来のように「導入と同時に、一気に社内全体へ普及させようとする」のでなく、まず少人数が積極活用し、それを徐々に周囲へ広げていく方法を取りました。というのも一気に全員、とやってしまうと、どうしても一部の社員で「やらされ感」が出てくるからです。そうでなく、まずは小さく始め、成功事例、模範形を作った上で、そこから1つずつ次の部署、次の部署へ展開させていく、そのような進め方をすることで納得感が得られ、最終的には広く展開できると考えたからです。このように粘り強く説明したことで、上層部や周囲の理解を得られ、KIの取組を軌道に乗せることができました。

データを基軸に会話する社内文化の醸成

KIの導入後、社内ではどんな変化がありましたか?

データ分析への姿勢、意識が変わってきたと感じます。「これから、こういう方針で活用していきたい」といった、未来志向の発言が出てきています。

新規営業部では、スパーリングのように次々と、新しい施策を打っています。データ分析を通じて、施策を考えるための「数値による気づき」が得られています。それがあれば、施策を実行する側の納得感が全然違ってきます。まず「なるほどね」と納得し、それから素早く行動に移し、反応を見て、次の行動につなげる、そんな流れが生まれてきました。

さらにKIの潜在力を掘り出していきたい

使ってみてわかったKIの良さを教えてください。

サポートが良いですね。キーエンスのデータサイエンティストには、いつもいい意味で、追い込んでもらっています。汎用的な疑問はサクセスサイトで動画を見れば自己解決し、具体的なことは細かく定例会議で質問します。動画などの研修素材、人による直接アドバイスの両方が揃っています。自社ならではの細かい悩みだと思っていたことでも、案外、サクセスサイトに汎用的な解決方法が示されている、そんなことが何度もありました。

KIの魅力は、単にツールの機能だけでなく、伴走支援の部分、つまり「人材育成」、「環境整備」、「データ整備」を実現する支援が充実していることです。

1年間使ってみて思うのは、私たちはまだまだKIの潜在力のわずかしか引き出せていないということです。さらに深く活用し、あらゆる場面で、データを基軸として会話、議論していく。そんな形の社内文化を実現していきたいと考えています。キーエンスには、そうした当社の取り組みを優れた技術、製品、サポートを通じて⽀援いただくことを希望いたします。今後ともよろしくお願いします。

株式会社オークネット

「新規営業の反応率が3%から20%に向上し、データ集計工数もほぼゼロに削減されました」

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