株式会社百五銀行

株式会社百五銀行 営業開発部 法人企画課 角 賢二氏、経営企画部 梅村 昭仁氏にKIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「行内へのデータ分析文化の定着を目指しKIを導入しました。人事部と連携して、実践的な研修プログラムを立ち上げました。」

株式会社百五銀行

株式会社百五銀行は三重県で最大規模の地方銀行です。預金残高5兆3,879億円、貸出金残高3兆9,883億円、従業員数2,380名、創立1878年(明治11年)。

創立 1878年
従業員数 2,380名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

営業効率改善とデータ人材育成にKIを活用

百五銀行ではKIをどう使っていきますか?

百五銀行ではKIを、主に営業効率改善と、行内のデータ人材育成の2つの用途で活用していきます。

まず営業効率改善について。当面は、投資信託、カードローン、無担保ローン、法人融資利用などの新規開拓にデータ分析を活用していきます。分析対象となるデータは、入出金など預金情報、口座開設時に申込書に記入される属性情報、各種金融商品の購買情報などです。各種情報を解析することにより、有効な提案先を抽出できると考えています。

この他、「成績の良い営業担当者(ハイパフォーマ-)の渉外活動の傾向分析」「法人融資先のデフォルトまたは格付け変化の予兆解析」にも取り組んでいけたらと思います。

データ人材の育成を必要とした経緯

2つ目の用途、「データ人材育成」について詳しく教えてください。

百五銀行では中長期的に本部を中心に多くの行員が、データ分析の基本的な考え方を体得している状態、簡単なデータ分析なら他人に頼らず自分でできる状態を目指していきます。行内にデータ分析の文化を定着させる、ということです。

従来、百五銀行では、「ためる」「分析する」「見せる」の3軸でデータ活用基盤を拡充してきました。このうち「ためる」「見せる」については、営業支援(CRM)システムやBIツールを通じ、一定水準まで拡充できました。しかし、それをつなぐ「分析する」の部分は、手法も有効なツールも確立しないまま、個々の行員の属人能力に依存する形が続いていました。簡単にいえば「分析する」の部分は、「各人がエクセルでがんばる」という形でこなしており、改善が必要な状態でした。加えて中期経営計画でも、営業活動の高度化の必要が求められており、データ分析ツールの導入は喫緊の課題となりました。

しかしこの課題は、検討を進めるうち「ツールを導入して分析する」から「本部全体にデータ分析文化を定着させる」という形に深化しました。私たちは、三重県の経済の動脈を担う地方銀行として、業務のDX化を率先して進めるべき立場にあります。その意識を持ったとき、改善行動が、単なるツール導入にとどまらず、行員の意識改革、データ分析文化の定着にまで至るのは、必然の流れでした。経営層からの要求も、短期的な効率改善に加え、中期的な業務全体のDX化まで広がりました。

この観点でデータ分析ツールを精査し、その結果、KIの採用に至った次第です。

データ分析ツール選びの基準

データ分析ツールはどういう観点で検討したのでしょうか?

(営業開発部 角氏) 重視した基準は「行員が自分で使いこなしていけるツールか」「その分析結果に至った理由がわかるか(ホワイトボックスであるか)」でした。

もし基準が「高度な分析ができること」であれば、それに特化した、金融業界向け高度分析サービスを選ぶことも可能でした。ただそうしたサービスは、分析の高度さゆえか、過程がブラックボックスとなり、一般行員には、なぜそういう結果になったのか理由がわかりません。つまり納品された分析結果を「とにかく、こうである」という形で、飲み込み、受け入れるしかない。これは「行内へのデータ分析文化の定着」という目的には不向きだといえます。

そうではなく、行員が自ら考え自らデータ分析をおこない、分析結果を見て、その結果に至った理由を考え、次の分析につなげていくようにしたい。私は以前より銀行本部でデータ分析に少なからず関わってきました。そこで至った結論は、「データ分析は、課題に近い人間がやるほうがよい」ということです。一番良いのは、課題を抱えている当人が自分で分析することです。自分の課題なら自分事として分析するからです。一方、他人(外注)が他人事として分析したのでは、分析結果がいくら高度でも、現場や当人の行動変化につながりにくい。

(経営企画部 梅村氏) これはある意味、「レストランの高級料理より、必要なのは日々の家庭料理」という発想でもあります。高級レストランでお金を払えば、最高の材料と調理法で、最高の料理が出てくる。しかし、人の生活改善に本当に必要なのは、「今日は冷蔵庫にこれしか残ってない。さて、この材料で何を作ろうか」と発想し、料理する、その力です。データ分析でいえば、まず今あるデータを見て、それを縦横斜めから分析し、課題解決を一歩でも前に進める、そんな現場力です。そうした力は日々、自分で分析する(料理する)ことでしか身につきません。その意味でも、過程がわかる、ホワイトボックスの道具を使う必要があります。

さらには、データ人材を多数育成し、行内に分散配置することで、データ分析文化を定着させたいという期待もあります。私は以前、有価証券を運用する部署に配属されていました。有価証券運用に関わった人材は、市場に関する知識や、リスク管理などについて、知見を習得します。その後、そこで育った人材が、異動を通して各部門に散らばってゆき、それにより、銀行全体に市場運用やリスク管理の考え方が浸透していきました。データ分析でもこれと同じことがおこなえないかと考えました。

この他、当時は、経営側からも「中身がわからないブラックボックスではなく、説明責任が果たせるホワイトボックスの道具を使うべき」という意向が示されていました。

これら観点にもとづき各種ツールを比較したところ、分析能力と使いやすさがよく均衡している点で、KIが相対的に最も優れていたので、起案の上、これを導入しました。

行内では慎重論も

導入に際し、行内で反対論、慎重論はありませんでしたか?

慎重論はやはり、ありました。「本当に使いこなせるのか?ホコリをかぶるのではないか?」という意見です。これに回答するため、まず他12部署に向け、「行内にデータ分析の文化をあまねく定着させるため、KIというツールの導入を検討している」という旨の報告文書を回しました。

すると、多くの部署から「自分たちの部署では、こんな用途に使ってみたい」という積極的な回答がありました。中には直接、電話をくれた部署もありました。いずれも単なる総論賛成ではなく、自分たちで使うならこうするという具体的な反応でした。

やはり各部署には「データ分析で課題を解決したい」という潜在需要、やる気、あるいは早くデータ分析を導入しないとこの先、業務が立ち行かないという危機感がある、それがよくわかりました。これをもとに関係各部署や経営層へ再度、説明をおこない、導入に至りました。

「短期トレーニー」制度

導入後、各部署への定着はどう進めていきますか?

人事部と連携し、実践的な研修をおこなっていきます。

データ人材の育成が全行的な課題として顕在化する中、人事部もすでに、データ分析の研修などを実施していました。しかし、外部講師を招いての研修はどうしても概論など座学か、あるいは「ではこの仮のデータを使って分析の演習してみましょう」のような形になります。それでは、本当に必要な力、先ほど述べた、あり合わせの材料でも何とかする現場力が身につきません。それを補うため、人事部と協議し、「短期トレーニー制度」を実施していくことに決めました。形式は次のとおりです。

  • 1.営業担当の支店行員からデータ利活用に関する短期の研修への参加者を募る。その行員は一時的に担当業務を離れ、データ分析の学習に専念する。
  • 2.短期トレーニーとなった行員は、自ら分析課題を持ち寄る。いま現実に部門に存在する課題、データ分析を使えば解決できるかもしれない課題を自ら見つけ、研修の課題とする。
  • 3.短期トレーニー制度では、外部企業の専門家の支援をあおぐ。データを「分析する」部分はキーエンスのデータサイエンティストに、データを「見せる」部分は関係するシステム会社のSEにコーチしてもらう。
  • 4.研修の場では、その課題の解決に取り組む。そうしてデータ分析を実践的に学んでいく。

この研修を通じ、参加者が課題の解決方法を見い出したなら、それはすばらしいことです。研修後、すぐ自部門で実施すればよい。そこまで至らない場合でも、データ分析の実践的な会得という目的は果たせます。この短期トレーニー制度を通じ、データ分析の考え方とやり方が体に染みついた人材を、各部門で育成していきます。

先行ユーザーからのアドバイス

現在、データ分析の推進を検討している他企業に向けて、
先にKIを使っている立場からアドバイスなどあればお聞かせください。

社内にデータ分析を定着させることを狙うなら、ブラックボックスでなく、ホワイトボックスの道具を選ぶ、これは必須だと考えます。また、データ分析ツールは、導入して終わりではなく、その先、使いこなさないと導入した意味がない。それを考えると、操作がしやすく、導入後の定着サポートの手厚い道具を選ぶのが良いと考えます。

今後の期待

今後の抱負、キーエンスへの期待をお聞かせください。

現在は銀行業務を取り巻く環境は大きく変化しています。その中で百五銀行は、引き続き三重県の経済、県民生活に貢献するべく尽力していく所存です。キーエンスには弊行が新しい発想に取り組んでいくときの「良き相談相手」となっていただければと考えます。今後ともよろしくお願いします。

株式会社百五銀行

「行内へのデータ分析文化の定着を目指しKIを導入しました。人事部と連携して、実践的な研修プログラムを立ち上げました。」

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