京都中央信用金庫

京都中央信用金庫 営業推進部 部長 松本 吉弘氏、営業推進部 営業推進課 係長 二階堂 圭氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「京都中央信用金庫では、産学協同など、データ活用を推進しています。KI導入も、その一環です。」

京都中央信用金庫

京都中央信用金庫は、京都市および京都南部、滋賀南部、奈良北部、大阪北部を営業地区とする信用金庫です。預金・譲渡性預金残高5兆1,381億円であり、日本で最大規模の信用金庫です。

設立 1940年
店舗数 131店舗
職員数 2,586名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

KIの用途

京都中央信用金庫は、KIをどう活用していますか?

京都中央信用金庫(以下、京都中信)では、KIを活用して、まずは個人向け営業の最適化を進めています。

【個人向け分野】

個人のお客さまには、普通預金、定期預金など「預金分野」、振込、振替などの「為替分野」、投資信託、損害保険、生命保険など「預り資産分野」、そして住宅ローン、カードローン、フリーローンなど「消費性ローン分野」といった金融サービスを提供しています。

今後はKIの活用によりデータ分析を高度化し、個々のお客さまに最適なサービスを提案していきます。分析に使用するデータは、居住地、年齢、職種など「属性情報」、預金推移、公共料金引き落とし状況、ローン返済状況など「取引情報」、そして弊金庫からの金融サービスを示す「販売状況」などです。

【法人向け分野】

個人向け分野の最適化に続く次の段階として、法人向け、与信管理の分野での活用を想定しています。分析対象となるデータは「属性情報」「取引情報」「融資状況」などであり、本質的には個人のお客さまと同様と考えています。

【与信管理の最適化】

金融業務では与信管理が重要です。いわゆる「預金口座の動き」を始めとする各種情報を分析することで、貸し出し可能かどうかの「与信判定」、または不良債権化を防ぎ、早期に手を打つための「与信管理(予兆管理)」をさらに高度化したいと考えています。

特に「グレーゾーンの与信判定」を精緻化したい。白黒がわかりやすい与信判定、つまり財務諸表などだけで簡単に判断できるような案件は、従来通りでよい。問題は、安全なのか危険なのかすぐに判定できない「グレーゾーン」の案件です。グレーゾーン案件をもし「一律NG」で判定すれば、融資の安全は保てます。しかし、それは「本当は安全だった案件もNG判定している」ことに他ならず、機会損失につながるばかりか、信用金庫としての使命も果たせません。逆にグレーゾーン案件を「一律GO」と判定すれば、不良債権が一定の割合で生じます。

この微妙な部分の判断について、データ分析を通じて従来からの審査手法を高度化したい。そして融資すべきお客様を精緻に選別し、ぜひ積極的に資金提供していきたい。その結果、融資可能案件が増えれば、信用金庫の存在意義である「地元経済の活性化」につながります。

京都中信では現在、KIだけでなく、さまざまな形でデータ活用を推進しています。最近は、産学協同の取り組みもおこなっています。

滋賀大学とデータ分析で協定

「産学協同の取り組み」とは、具体的には?

京都中信は、2020年4月に、日本初の「データサイエンス学部」を持つ滋賀大学と包括的連携協定を締結しました。21年1月には同大学から准教授を招き「金融機関におけるデータ分析」をテーマに役員向けのセミナーを開催、今後は部長や支店長に向けても展開します。
滋賀大学の課題は、「データ分析の方法論を研究するとき、理論を検証するための『実世界のデータ』が不足していること」でした。一方、京都中信は「データは大量に持っているものの、これを分析・活用するノウハウが十分でない」ことが課題でした。両者の強みと弱みは互いに対応しています。
これをふまえ、京都中信は滋賀大学に、保有する各種データを、人物が特定できない匿名化した形で提供し、研究に活用していただく。一方、滋賀大学は、研究を通じてわかったノウハウ、方法論を京都中信に提供いただく。そうした連携をおこないます。

導入前の課題

データ活用に本格的に取り組むようになった経緯を教えてください。

弊金庫では、膨大な量の個人・法人のお客さまの口座を有しています。そこでは、お客さまの入出金の情報が日々刻々と更新されています。このようにリアルなデータがある業界は他にはなく、この活用が不十分であるとすれば多大な損失です。

これまでも独自でデータ分析はおこなってきました。しかし、そのデータの膨大さゆえに、十分にデータ活用ができているか、分析結果の信頼性はどれほどか、という課題意識が従来からありました。

また、これまで金融商品の推進や、融資の管理(与信管理)に当たっては、各種の情報やデータの分析結果をベースとしつつも、最終的には各部署、各個人が、それぞれの「経験と感性」で判断してきました。経験と感性は重要で、KIを導入した今後も、一律、データに従って動くわけではない。しかし、それはデータを軽視して良いという意味ではありません。

また「経験と勘に基づく仕事」は、やはり属人的な側面が強く、全員に備わっているものではない。特に新入職員には感性の前提となる経験がありません。ここでデータ分析を活用するべきではないか。例えば、営業現場のハイパフォーマーたちはなぜ生産性の高い営業ができるのかという点を分析し、新人を含め他の営業マンと共有することで、データから「仕事のコツ」を学んでもらう。そんな「業務ノウハウの新陳代謝」の仕組みを作ることができれば理想的です。

以上のような課題意識を持ち、適当なソリューションを探していた時、キーエンスのKIを知りました。京都の金融機関である私たちにとって、キーエンスは「同じ関西に本社のある営業利益率がとても高い企業」という認識でした。KIの製品説明には、「KIは自社の営業で使っているデータ分析ノウハウを商品化したもの」との記載がありました。キーエンスの好業績を支える仕組みとのことで、大いに魅力を感じる一方で、そのノウハウをユーザーが「本当に使いこなせるのか」という気掛かりもありました。

とはいえ、考えていても仕方がないので、デモを見せてもらうことにしました。

デモを見ていかがでしたか?

まず、ユーザビリティの高さに驚きました。操作はとても簡単なのに、驚くほどの分析結果が出てきます。我々の持っている膨大なデータをこのツールで分析すれば、新しい視点、違った風景が見えてくるのではないか、と感じました。

我々がこれまでおこなってきたデータ分析と比べて、KIによる分析は、内容としては相当高度なものになります。しかし、分析に必要な知識や手法は、キーエンスのデータサイエンティストがフルサポートしてくれます。そして価格体系も、初期費用が必要ない「1年ごとのサブスクリプション契約」でした。つまり、1年使ってみて上手くいかないなら、そこでやめてしまうことも可能です。

データ分析を高度化する手段としては、主に「分析ツールを入れる」「専門人材を採用する」「外部機関へ委託する」などが考えられます。しかし、人を採用した場合、上手くいかないから1年で終わりと簡単にはできません。また「外部機関への委託」についても、スピード感、データの秘匿性の面からの課題があり、「分析ツールの導入」が最も障壁が低いと感じました。

さらに、キーエンスの高利益率は誰もが知るところであり、その営業ノウハウを落とし込んだツールであれば、営業現場へ提案しやすい。「キーエンスのツール」が出した分析結果ならば、営業現場に対しても説得力があり、受け入れられやすいと思いました。

担当部内で、KI導入の方向で意見がまとまり、その後、経営層に提案しました。

反応はいかがでしたか?

反応は「データ分析の重要性は理解しているが、このツールを使いこなすことができるのか(我々が望む分析ができるのか)」というものでした。担当部で最初に感じたことと同じ懸念です。

これに対しては、「データサイエンティストによる充実したサポートや、価格体系などから、とにかく1年取り組みたい」と説得し、結果的に「それなら試してみよ」ということとなり、導入に至りました。

キーエンスのサポートへの評価

これまでのサポートについての評価をお聞かせください。

キーエンスのデータサイエンティストによる伴走型のサポートが「これまで経験したことのない充実したもの」であり、予想以上の内容に驚いています。

これまでも、京都中信ではさまざまな業務システムを導入しており、多くのIT企業様からサポートを受けています。どの企業様も対応は迅速かつ懇切丁寧であり、良質なサポートを提供いただいています。

ただ、KIのサポートは、その「手厚さ」に加え「コミット感」があります。データサイエンティストとの会話では、あらゆる場面で「期限」が区切られています。「次はこれを試しましょう」と小分けされた提案があり、その時に「何月何日までに」という期限が必ず加わる。そして逐次、進捗確認とサポートのための連絡があり、期限が近づくとリマインドの連絡があります。

通常の手厚いサポートとは、「わからないことを懇切丁寧に教えてくれる」「こちらの困りごとは全力で解決してくれる」というものですが、キーエンスのサポートはそれとは少し違います。キーエンスは京都中信のデータ分析を「自分がコミットする、自分のプロジェクト」だと思っていて、だからこそプロジェクト管理の一環として締め切りを設けてくる、という印象があります。

これ以外にも印象的なことがありました。ある時、KIを使っていて、どこがおかしいのかわからないものの、直感的に違和感のある分析結果が出てきました。さっそくデータサイエンティストへ連絡したところ、「原因は投入したデータ項目にある」との回答がありました。「分析に適さない項目を投入すると、それが原因で異常値がでることがある」とのことでした。指摘された項目を削り、再度分析をおこなったところ、今度は納得感のある結果が出てきました。

データサイエンティストのサポート無しでは、分析結果からの違和感の原因がどこにあるのかすぐにはわかりません。その原因を探ることに時間もかかり、分析結果の納得感は薄いものになってしまいます。そのような分析結果を営業現場に提供してもかえって営業の妨げになり、活用されないことは目に見えています。その結果、データ分析の高度化や営業現場の効率化が遠のき、せっかく導入したツールを使わなくなるという悪循環もありえます。今回は連絡して、30分後には解決しました。

やはりデータサイエンティストのサポートは必須だと、あらためて実感しました。

先行ユーザーとしてのアドバイス

現在、KIの導入を検討している企業に向けて「先行ユーザーとしてのアドバイス」などあればお聞かせください。

興味をお持ちの企業様には、一度試してみられることをお勧めします。初期費用もかからず、サービスの停止も簡単です。でも、「やってみたら、きっとやめないだろう」とも思います。

京都中信は、引き続き地域社会に貢献する信用金庫として活動していく所存です。キーエンスにはそうした弊金庫の取り組みを、優れた製品、技術、サポートを通じ、支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

京都中央信用金庫

「京都中央信用金庫では、産学協同など、データ活用を推進しています。KI導入も、その一環です。」

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