ローソンの店舗には、1店につき20〜30種類の電⼦機器があります。POSレジ、⾃動釣り銭機、ストアコンピューター、プリンタ、電⼦決済端末、ルータ、発注端末、検品機器、Loppiなどです。これらソフトウエアを伴う電⼦機器の管理は、私たちIT部⾨がおこなっています。
こうした機器が⼀つでも壊れたり、動かなくなったりすると、店舗運営に⼤きな⽀障をきたします。POSレジなど重要な機器は、1台壊れても⼤丈夫なように、必ず2台が冗⻑配備されています。また、その他の機器についても「店舗から故障の連絡があったら、素早く保守要員が出向き、修理する」という「かけつけ保守」の体制を取っています。保守業務は、外部の企業に委託しており、保守拠点は全国に140箇所に上ります。
しかし、「かけつけ保守」は、その体制を維持するのに、待機⼈員や部品在庫を常に確保せねばならず、相当なコストがかかります。このコストを低減するために「予防保守」を導⼊したいと考えました。これは、機器が壊れてから修理するのではなく、壊れる前に予兆を察知して適切な処置を施し、故障の発⽣を未然に防ぐという発想です。
故障の予兆を知るには各種データを分析する必要があります。このデータ分析に、KIを使おうと考えました。分析対象データは、⼤きく「機器の稼働状況」「店舗の属性」「外部要因」の3点です。
まず「機器の稼働状況」。コンビニ店内の各種機器は、その⼤半が、⾃⾝の稼働状況、つまり電源投⼊時間、読み込み書き込みなど各種イベントの発⽣頻度、所要時間など各種情報を、センターに⾃動送信する仕様になっています。この集積データを解析すれば、どんな機器が、どんな状況、どの程度の過酷さで使われたとき、故障が起きやすくなるか、その傾向がある程度わかると期待できます。次に「店舗の属性」。これは店舗の⽴地、売り上げなどの情報です。たとえば「⽇販いくら以上になると故障が起きやすい」「海のそばの店舗は故障が起きやすい」などの傾向がわかるかもしれません。最後に「外部要因」。これは季節、天気、温度、湿度、周辺地域のイベント情報などです。先に挙げた「機器情報」「店舗属性情報」と組み合わせて分析することにより、新たな知⾒が得られると期待できます。
この「予防保守」は簡単には実現しない難しいテーマであることは⾃覚しています。キーエンスのデータサイエンティストとも相談しながら、⽅法論を模索していきたいと考えています。