まずダイレクトメールの送付先の選定など「見込み先顧客のターゲティング」で活用しています。それぞれの商品・サービスを所管する部署がターゲティング分析をするケースもあれば、私たちIT統轄部が分析するケースもあります。
この他、大垣共立銀行の銀行アプリでも活用しています。アプリ内では、顧客の取引の状況、特定行動の回数などをもとに、アプリ内でレコメンドを表示します。例えば「一定の商品の契約があり、一定の閾値を充足する残高がある顧客がATMから出金した」などの条件が揃ったとき、特定のレコメンドが表示されます。レコメンド表示の条件である「一定の契約」や「一定の閾値」などを、KIのAFE(機械学習)機能を使って抽出しています。
また、銀行業界が近年直面する実店舗への来客数の減少などを把握するために、口座取引履歴などの情報から、個人、法人の属性別、店舗別に時系列で分析し、トレンドを見出す可視化の取り組みをしています。こうした分析結果は、店舗の配置や事務の集約などの検討・検証などのインプットにもなっています。以前は現業部門でのデータ分析といえば、小規模のデータをExcelやAccessを使って分析する程度でした。KI導入後は、その他要因もありますが、1億件を超える規模の取引履歴のデータでも分析に利用することができるようになりました。
当社では、まだ利用できていないのですが、最新バージョンで追加されたグラフ化機能などは、説明の現場での質問や疑問に対して素早くビジュアルで示すことができるので、よりさまざまな業務の現場での活用の幅が拡がるのではないかと期待しています。
主の分析機能ではありませんが、簡易データマートとして各種データの蓄積、保管、集計にもKIを使っています。業務面からいうと、時間の変化とともに必要なデータの要件は変わっていきます。データマートを開発して作成しても、作成した瞬間から陳腐化は緩やかに始まるのです。KIはGUIで操作できるデータ加工・蓄積機能がありますので、システム部門以外の業務部門が柔軟に作成できる現場用データベースとしてもKIを重宝しています。「こんなデータあるけど使えるかな」といった際に、csvをドラッグ&ドロップしたら、すぐに加工・分析できるので、新たなデータ活用を始める際にあたりをつけやすい(サンドボックス)というのも良い点です。それもシステム部門の介在を必要とせず、業務部門がすぐやってみることができる、「鉄は熱いうちに叩け/やる気が出た時にすぐにできる」、これは重要だと思います。そして、後続の分析機能があるからやりたいことが見つかる&データ加工・蓄積機能があるからすぐ始められる、この2つがあることはデータ活用の推進において大きなアドバンテージだと思います。
当社では、KI導入に前後して、データ活用のプロジェクトチームが立ち上がりました。当初はキーエンスのデータサイエンティストにご協力いただき、本部部署の若手中堅職員を中心に十数名で活用を進めました。約1年後には営業店舗の職員を公募し約20名新たに加え、現在は、営業現場の職員のデータ活用ニーズを吸い上げ、現場でのデータ活用をスモールにはじめて大きくすべく具体的なテーマを討議中です。
KIへのデータ投入は、基幹システムの一部がコピーされているDWHとのデータベース接続(自動更新)、それ以外のデータは必要に応じて、基幹システムに接続されているBIツールから抜き取った上、手動でKIに読み込ませています。今後、KIなどの活用ツールにより多くのデータを自動で投入できるようなデータインフラを整備し、より多くのデータを活用していきたいと考えています。