NOK株式会社

NOK株式会社 事業推進本部 事業管理部 主査 兼 DX推進室 企画部 有岡昌樹氏、 同本部 管理課 主事補 上村洋平氏、オイルシール事業部 製造技術部 量産準備課 主事補 兼 DX推進室 企画部 刀祢稜氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「『何が起きたのか』過去を知るだけでなく、『これからどうしていくか』未来を決めるにはKIが必要です」

NOK株式会社について

NOK株式会社は、日本初のオイルシールメーカーとして創業以来培ったコア技術である有機化学と機械工学を駆使し、自動車や産業機械、電子機器など幅広い分野で、世の中に“安全”と“快適”を提供しています。オイルシールのマザー工場である福島工場をはじめとする国内外の生産拠点にて、高品質かつ安定したものづくりをおこなっています。

創業 1941年
年商 7100億円
従業員数 3万7913名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

活用状況・課題・効果

活用状況

  • ・40名近くの社員がKIを活用中
  • ・生産上の不適合を低減するための分析
  • ・お客様提示の発注予定数量と実受注数の乖離分析

導入前の課題

  • ・データは以前から蓄積していたが、未整理な状態であり、活用も部門単位だった
  • ・BIでは「何が起きたのか」など過去の状況が分かるだけだった。もっと未来志向、施策志向の分析が必要だった

KIへの評価、導入効果

  • ・経験的にわかっていた事を分析する事で、疑念が根拠ある確信につながった
  • ・データの集計・分析等の業務がExcelの頃と比べると8割近く時短

激変する市場に対応するためにデータ分析を活用

KI導入の目的を教えてください。

急激な事業環境の変化に対応するためのデジタル化の促進が、KI導入の最大の目的です。

主要取引先である自動車業界では事業環境が大きく変わりつつあります。急速なEVシフトで変革を迫られており、2040年までに二酸化炭素を排出しないゼロエミッション車にすることが、世界的な目標として掲げられている状況です。

これによって当社も少なからず影響が及ぶことになりますし、指をくわえて見ている訳にもいきません。

危機かチャンスか、我々はこの大きな環境変化を変革のチャンスだと感じております。

これらに対処する取り組みの一つがデジタル化、データ分析です。過去から言われ続けている企業資産「ヒト、モノ、カネ」にプラスして、近年では第4の資産として「情報」も重要な経営資源と言われています。我々はこの「情報(データ)」を活用して、社内のムラ・ムダを探し、品質改善、収益向上に繋がる活動を進めている所です。

BIツールだけでは不十分と考え、KIを導入

KI導入の経緯を教えてください。

2年前ほどにBIツールを導入しております。BIツールの活用で、日々の集計の自動化も可能になり、分析業務の生産性向上にも繋がるメリットがありました。

ただし、メリットはありますが、「現状の延長線上の改善」にすぎなかった。

データから課題・問題を引き出し、改善に繋げるには、業務経験、分析のスキル、そして一番重要な目的・ゴール設定次第で結果も大きく変わってきます。それらを兼ね備えていないとBIツールの本来の効果を引き出す事は出来ません。これは非常に大きなハードルでもあります。「データ活用」は本当に難しい。これまでの業務経験において、そう思わされる機会は非常に多くあります。

1つのデータから1つの結果を出すのではなく、1つのデータから10、20の改善を生み出し、人の能力・業務経験などに左右される事なく、誰もが同じ結果を導き出せるツールがないか、調べてたところにキーエンスからKIの製品説明を頂きました。

BIは過去と現在の見える化、つまり「何が起きたのか」を知るには有効的です。これは事後の対策・改善に繋がります。

一方のKIは、「これから何が起きるのか」、「そのとき何をすべきなのか」とNextActionに繋がる活用、そして事が起きる前に対策、未然防止の一手に繋げられるのではと感じました。

そしてKIを採用した理由としては、

  • ・ノンプラミングであり、現場で扱えるAIソフト。
  • ・人では考えきれない無数の切り口を自動的に生成し、その中から機械学習で優先順位を決めてユーザー側に改善や打ち手を通知。
  • ・製造に限らず、経営指標・原価・販売・調達・人事など活躍する領域が広い。
  • ・ソフトの提供だけではなく、キーエンスのデータサイエンティストを通じ、分析・思考・ビジネススキルなどの人材育成やテーマに沿って改善活動に参画して頂ける。

KIを使ってさまざまな改善のネタを生み出す事も重要ですが、それよりも単発で終わらずに長く継続して改善のPDCAを廻し続ける方が会社にとって圧倒的に大きなメリットに繋がります。ソフトウエアの提供に止まらず、データサイエンティストを通じ、ビジネス上の考え方を得られるところまで、サービスとして包括している点が、導入の一番の決め手となりました。

生産現場での不適合の分析にも活用

不適合の分析でKIを使うとは、具体的には?

不適合とは歩留まりを阻害する規格外要因のことです。従来も、不適合の時期や量などは、BIツールなどで見える化を進めていました。しかしそれは「結果」を把握しているに過ぎず、「原因」の究明が不十分でした。そこでKIの出番です。

まず福島工場で、オイルシールの不適合分析から始めました。オイルシールは成形機にゴム生地と環を投入して、加硫成形して製作します。この工程で不適合が発生する事もありますが、とある技術者が「ここで発生する不適合と前工程で製作しているゴム生地の製造実績、製造条件、生産環境との間に相関があるのではないか?」と、以前からあたりをつけていました。

今回KIを使い、加硫成形工程の不適合実績とゴム生地の製造実績、検査実績、生産環境、マスタなど各種データを投入してAFE(機械学習)と要因分析機能を使って解析しました。

その結果、「ある製造条件と生産環境が不適合の発生率に影響している可能性が高い」ことがわかりました。加えて「ゴム生地の出来栄え自体もこの影響を受けている可能性が高い」ことが分かりました。そしてこれは技術者の推測と近い結論でもありました。

これに対し「やはりベテラン技術者の勘の方が優れている。データ分析なんて大したことはない」と見なすことも可能でしょう。しかし私たちはむしろ「疑念が、根拠ある確信につながった。制御すべき閾値も明確になった。」と考えました。

勘コツ経験からの推測では、なかなか部門内、工場内の意見統一につなげにくいです。しかし客観的な分析結果が出れば、改善活動に拍車がかかります。NextActionに繋げることができます。現在これらを改善する為の施策を実行中です。

発注予定数と実発注数の乖離を分析

KIによる在庫分析とは具体的には?

近年、お客様よりご注文を頂いてから製品を納入するまでのリードタイムは非常に短くなってきています。短い所ですと当日の朝にご注文を頂いて、その日の午後には出荷するというのも増えてきています。ご注文を頂いてから生産をしていてはお客様の納期に応えられませんので、通常は正式なご注文の前に、発注予定数量を「内示数量」として予め情報提供頂きます。

この「内示数量」は原材料の調達、生産計画、人員計画、適正在庫管理等の指標となる非常に重要な情報なのですが、業界・品目毎にどうしても精度が異なります。

これまでも、過去の販売実績、市場動向など、様々な要素を加味し補正数量の算出をおこなっていましたが、今後は機械学習などKIの機能をフル活用し、分析、検証していきたいと考えています。

KIへの評価 ~ 意識変革、時短、データ分析の民主化

ここまで使い続けてのKIへの評価をお聞かせください。

定性的な評価になりますが、KIユーザーは、以前に比べ、意識、考え方、発言が明らかに変わってきました。根拠と数値を見据えて話すようになりました。

またデータの前処理作業では、Excelの頃に比べ8割ほど時短された事例もあります。データ更新も、Excelでは手作業で実施していましたが、KIでは自動更新が可能です。Excelで複雑な分析を試みると、数万件のデータでも重くなりますが、KIならサクサク進みます。Excelの頃にくらべ、データ分析が気軽におこなえるようになりました。従来多くの工数を費やしていた集計などの「作業」時間が大きく圧縮し、その分、本来リソースを割くべき「分析」や「検証」に移行することができています。

そしてKIのサクセスサイトの教育動画も素晴らしいですね。マニュアルを読むより、動画を見る方が分かりやすいです。それを参考に自分達でも動画を制作しました。

自分達がKIを操作している様子、そして出てきた分析結果をプレゼンしている様子などを30分程度の動画にまとめています。それを使って、「KIというツールを使えば、こんな分析ができる」というアピールを、KIを知らない、使っていない社員に発信しました。

成果は上々で、別の部署から、「動画、見たよ」「ウチでも使ってみたい」など連絡が来ています。やはり自社で使っている事例を動画にすると、伝わりやすいですね。

KIは現在、社内で40名近くが使っています。この数はさらに伸ばしていきたいですね。社内のデータ分析の民主化を推進するためにもキーエンスにはこれからも手厚い支援を希望します。今後ともよろしくお願いします。

NOK株式会社

「『何が起きたのか』過去を知るだけでなく、『これからどうしていくか』未来を決めるにはKIが必要です」

無料データ活用セミナー

累計30,000人以上参加!