トーコンは営業力、提案力を主軸価値とする企業です。私自身、20年前に新卒で入社し、以来ずっと営業畑でした。
入社しばらくは飛び込み営業に明け暮れました。私は秋葉原駅の担当だったので、毎日、朝はまず秋葉原駅で電車を下ります。それから適当なビルを見つけ、エレベータで最上階、例えば10階まで上がり、そして飛び込み営業しながら、1階ずつ降りていきます。終わったら別のビルで同じことをやります。この「ビル倒し」営業を毎日繰り返していました。今では考えられませんが、そういう時代でした。
そんな新人時代、もっと営業成績を上げたくて「売れている先輩」をじっと観察していたところ、ある共通点があると気づきました。それは、弁舌さわやかとか、外見の第一印象が良いとかではなく、「顧客理解のレベルが高い」ということでした。
彼らは、とにかく顧客のことをよく知っていました。取引先の社長とよく話し込むので、相手の会社のことはもちろん、その社長の個人的なことまで熟知しています。そんな得意先を何社も持っているので、自然と「この業界で、この年商、この時期なら、この課題が自ずと発生してくるはず」とわかります。
彼らは、顧客と話すとき、その課題にそれとなく触れている。すると、「今まさにそのことで悩んでいる」という反応が返ってくる。そしてその課題にあった商品を提案する。だからスッと売れる。そんな流れでした。
顧客理解が深い営業には「提案のタイミングを大切にしている」それは「自分が売りたい商品ではなく、お客様が必要としている商品を提案している」という特徴もあります。
この「顧客理解」の重要性に気づいてから、私自身、営業成績を安定的に残せるようになりました。そして気がつけば、入社20年目にして社長に就任していました。
外部環境の変化は私たちトーコンにも自己変革を求めていました。さらに決定的な契機となったのが、コロナ禍です。