株式会社トーコン

株式会社トーコン 代表取締役社長 堀川 教行氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「データ分析を通じ、会社を一つ上のステージに高めていきます」

株式会社トーコン

株式会社トーコンは、採用・集客を主軸価値として企業経営を支援する会社です。顧客は全国展開する企業から地域密着の中小企業・店舗まで多岐に渡ります。

年商(取扱高) 51億円
従業員数 200名
創業 昭和41年

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

営業の「勝ちパターン」を見える化する

トーコンではKIをどう活用していますか?

トーコンはKIを使い、「営業の勝ちパターン」すなわち「選ばれ続ける営業」を見える化、数値化、社内共有化し、組織全体の営業力を底上げしていきます。KIは、社長である私が主導して導入しました。操作しているのは営業企画をミッションとした社員2名です。

売れる営業担当者は、必ず自分の「勝ちパターン」を持っています。勝ちパターンとは例えば「この業界でこの年商、この時期なら、この類いの商品が売れる」という原則です。彼らは、そのパターンに従い計画、行動、提案するので、高速かつ大量に成約できる。多くの営業担当者が、自分の得意とする商品を提案しがちだが、その営業は顧客ニーズにマッチした多様な商品を提案し、しかも成約してしまう。

これを「営業センス」と呼ぶ人もいますが、私は「知識に基づくパターン」だと見ています。それがパターンであれば再現可能であり、知識化して組織で共有することもまた可能なはず。勝ちパターンを社内に浸透させることで、組織の潜在力を開花させ、会社をもう一つの上のステージに引き上げたいと考えています。

KIの分析対象となるデータは「顧客属性情報」と「商品販売情報」の2種類です。顧客情報とは弊社の年間取引顧客5,000社の業種・業態・年商・営業利益・従業員数・社歴に関する情報です(帝国データバンクなどを通じて取得できるデータ、とも言い換えられます)。一方、販売情報とは、どの商品が、どの企業に、いつ、どれだけ売れたかの情報です。

これらデータを統合分析すれば「顧客グループごとの商品の購入傾向」「特定条件に該当する顧客グループに選好されやすい商品の傾向」など、営業の勝ちパターンにつながる知見が得られます。もっと具体的には「特定の商品Aを購入している顧客にはどんな共通点があるか」「特定業種Xで年商○○円、創業○年目に当たる企業、業界が共通して購入している商品は何か」などの知識です。

これら知見をもとに、顧客ごとに1〜10までのスコアリング、数値化をおこないます。数値は、社内業務システムを通じて広く社内に公開し、管理職と現場営業担当者が話し合うとき、「スコア7以上の顧客を集中的に回ってはどうか」のような形で営業計画の参考材料にします。

データ分析に関心を持った経緯

社長がデータ分析に関心を持つに至った経緯を教えてください。

トーコンは営業力、提案力を主軸価値とする企業です。私自身、20年前に新卒で入社し、以来ずっと営業畑でした。

入社しばらくは飛び込み営業に明け暮れました。私は秋葉原駅の担当だったので、毎日、朝はまず秋葉原駅で電車を下ります。それから適当なビルを見つけ、エレベータで最上階、例えば10階まで上がり、そして飛び込み営業しながら、1階ずつ降りていきます。終わったら別のビルで同じことをやります。この「ビル倒し」営業を毎日繰り返していました。今では考えられませんが、そういう時代でした。

そんな新人時代、もっと営業成績を上げたくて「売れている先輩」をじっと観察していたところ、ある共通点があると気づきました。それは、弁舌さわやかとか、外見の第一印象が良いとかではなく、「顧客理解のレベルが高い」ということでした。

彼らは、とにかく顧客のことをよく知っていました。取引先の社長とよく話し込むので、相手の会社のことはもちろん、その社長の個人的なことまで熟知しています。そんな得意先を何社も持っているので、自然と「この業界で、この年商、この時期なら、この課題が自ずと発生してくるはず」とわかります。

彼らは、顧客と話すとき、その課題にそれとなく触れている。すると、「今まさにそのことで悩んでいる」という反応が返ってくる。そしてその課題にあった商品を提案する。だからスッと売れる。そんな流れでした。

顧客理解が深い営業には「提案のタイミングを大切にしている」それは「自分が売りたい商品ではなく、お客様が必要としている商品を提案している」という特徴もあります。

この「顧客理解」の重要性に気づいてから、私自身、営業成績を安定的に残せるようになりました。そして気がつけば、入社20年目にして社長に就任していました。

外部環境の変化は私たちトーコンにも自己変革を求めていました。さらに決定的な契機となったのが、コロナ禍です。

KIを知った経緯

具体的にどのような影響がありましたか?

はじめて緊急事態宣言が出たのが2020年4月、私が社長になったのが同年10月、コロナ禍の真っ最中の社長就任でした。当然ながら、顧客にはまったく会いにいけない。人間関係で獲得する成約、いわゆる「何度も来てくれるから発注した」という理由の成約もなくなりました。売り上げも前年比で数十パーセントの単位で減少しました。

社員には「いま一番不安なのは顧客の方だ。とにかく連絡し、相手の状況に耳を傾けなさい」と指示しました。当時はどの顧客も、「他は、どうなの?」と他社、他業界の情報を欲していました。

直接対面の機会が消滅した以上、別の形で接触機会を設ける必要があります。その後、模索を続け、どうにか会社を稼働し続けました。危機は何とか乗り切り、結果として自分たちの存在意義を見直す機会にもなりました。

そんな折、翌年2月にキーエンスの営業担当からKI紹介の打診があり、私はすぐに快諾をしました。理由は、まず「データ分析の強化」がその時の会社の課題に合致していたこと、もう一つは、キーエンスが私にどんな営業をしてくるのか、それ自体に興味があったからです。

デモを見ての感想

デモを見ての感想はいかがでしたか?

私は、単純に感動しました。まずデモの進め方や営業担当の立ち居振る舞いが勉強になった。キーエンスの営業利益率の高さには以前から関心があり、それはなるほど、こういうスマートな営業に支えられているんだなと感じました。

そしてデータ分析。今まで経験則で「きっとこうだろう」と認識していたことが、一定のロジックを通じ数値で出てくる。蓋然性の高いスコアリングが可能になる。

KI以前にもエクセルを使って、分析らしきことはしていました。縦軸に顧客、横軸に商品を据えて、商品導入のマルバツの星取り表を作るわけです。しかし5,000顧客となるとエクセルと人手では無理がある。ところがKIを使えば、対象が5,000顧客でも、精密に正確に、広く深く分析できます。

KIはキーエンスが自社で使っているデータ分析システムをもとに商品化したと聞きました。ではKIを導入すれば、その営業手法を自社にインストールできるのではないか。全部は無理でも、ある程度はいけるのではないか、経営者としてそのように期待しました。

その後KIを、営業企画の現場社員にも見せてみました。二人とも「すごいですね。やってみたいです」と前のめりになってくれる。私は勢いに乗り、一気にKIを導入しました。今は導入して1年半が経ったところです。

さらなる気づき

実際に使ってみての感想はいかがですか?

実際に分析を進めながら、自分の営業理論が整理されていくのを感じました。先ほど売れる営業の条件として「顧客理解の深さ」を挙げましたが、もう一つ「決めつけ、バイアスがないこと」があると気づきました。

「この商品はこのタイプの顧客には売れない」「この時期、この商品が売れるのは、こういう顧客に決まっている」など、営業現場には多くの「勘という名の思い込み」があります。しかし、KIの分析結果を見れば、その勘が、実は当たっていなかったとわかることがある。分析結果を見ながら、決めつけ、思い込みが次々なくなるのを感じました。

売れる営業であればあるほど、自分のバイアスを取り去ろうとします。「自分なら売れる」という自信、それは行動力の源泉であり重要です。しかし、売れる営業はそれと同時に「もっと、いいやり方はないかな」と新しい方法を探している。もっと売れるなら今までのやり方には全然こだわらない、そんな柔軟性を備えています。KIの活用を通じ、このことを再認識しました。

KIによる顧客と商品のスコアリングは、まだ社内に浸透しきったとはいえません。でもそれは仕方がない。組織の風土を変え、全体を底上げしようと思えば、少なくとも3年はかかると覚悟しています。

時代がどう変わろうと「顧客理解」「バイアスの排除」が売れるための重要条件であることに変わりはありません。時間をかけても、データ分析を皆が使いこなせるようになり、会社全体として顧客理解を深め、組織のポテンシャルを開花させる、そして会社を次の段階に高める、それが今の私の経営者としての目標です。

先行ユーザーからのアドバイス

現在、KIの導入を検討している経営者に向けて、先に導入している立場からアドバイスなどあればお聞かせください。

KIは非常に使いやすい道具です。ITリテラシーがそれほど高くなくとも分析はきちんと回せるという印象です。いまデータ分析に関心のある検討中の経営者は、少なくともKIのデモだけは見た方が良いと思います。データ分析というものを自分の目で体感、実感する、まずはそこからだと思います。

トーコンは引き続き、顧客理解をさらに深め、企業の集客と人材獲得に貢献していく所存です。キーエンスにはそうした弊社の取り組みをすぐれた技術、製品、サポートを通じ、継続支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

株式会社トーコン

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