大多喜ガスが、小売り電気事業を開始したのは2019年からです。電力販売の自由化は2016年に始まりましたが、弊社としては、まず自社電源の確保から着手しようと考え、2年間の準備期間の後、自由化から3年後の2019年に開始しました。
電力販売は、営業部ではなく、経営企画部内に新部門を立ち上げ、そこで調達と販売の両方を担うことになりました。私はその新部門の責任者を拝命しました。といっても、私はもともと技術部門の出身で、営業の経験は一切なかったのですが。
ただ当時は、私は「販売」をやや楽観視していたように思います。というのも、まず自分たちは地元のガス会社、インフラ企業だという意識があるので、「ガス事業のお客さまの接点機会を使えばいい」という楽観論でした。ガス会社では、普段から点検業務をおこなっています。それと同時に電力販売のチラシをまけば、多くの世帯に告知できます。当時の契約数が16万強。うち5%が反応、契約したとして8000世帯、まずは十分だろうと考えていました。
しかし、この目論見は見事に外れました。なかなか思うように、売れない。それでも上層部に数字を報告しなければならない。当然、反応は渋い。そのときは「夏になったら波が来ます」など説明にならない説明で対応しました。しかし残念ながら、そんな波は来ない。その後も「新料金メニューを発表する秋になったら」など季節をずらして説明しつづけましたが、初年度は、目標の半分にも満たない実績で、大幅に未達成となりました。