大多喜ガス株式会社

大多喜ガス株式会社 経営企画部 電力事業企画グループ 鴇矢(ときや)直紀氏、経営企画グループ 丹羽 研太郎氏にKIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「KIの活用で、電力小売販売の目標を達成できました!」

大多喜ガス株式会社

大多喜ガス株式会社は千葉県茂原市を本拠とする都市ガス企業です。実は千葉県では天然ガスが豊富に産出されます。大多喜ガスは家庭向けに、グループ会社などが千葉県で採取したガスを供給しており、つまりガスの生産から供給まで一貫して事業をおこなっている、日本では貴重な「国産エネルギー企業」です。

設立 1956年
従業員数 274名
顧客件数 177,729件
年商 510億円

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

電力販売その他の営業効率改善のためにKIを活用

大多喜ガスはKIをどう使っていますか?

大多喜ガスでは、「乾太くん」「エネファーム」など先進ガス機器の販売促進のほか、電力販売の営業改善、目標達成のためにKIを活用しています。

大多喜ガスの都市ガスの契約数は約17万。分析対象となるデータは、それら顧客の属性情報、地域属性、ガスの契約年数、消費量などです。

KIを導入したのは電力販売の3カ年計画が、初年度、2年目と目標を下回り、新規契約の獲得に有効な施策を探し求めていたからです。当初は、3年で8000件という目標に対し、最初の1年はロケットスタートで4000件超の成約を獲得し、2年目、3年目はその余力で動いて目標は楽々達成という予定でした。しかし実際の初年度は、目標の半分にも満たない実績で、大幅に未達成でした。

1年目、スタートダッシュでつまづく

「電力販売が初年度、2年目とふるわなかった」とは具体的には?

大多喜ガスが、小売り電気事業を開始したのは2019年からです。電力販売の自由化は2016年に始まりましたが、弊社としては、まず自社電源の確保から着手しようと考え、2年間の準備期間の後、自由化から3年後の2019年に開始しました。

電力販売は、営業部ではなく、経営企画部内に新部門を立ち上げ、そこで調達と販売の両方を担うことになりました。私はその新部門の責任者を拝命しました。といっても、私はもともと技術部門の出身で、営業の経験は一切なかったのですが。

ただ当時は、私は「販売」をやや楽観視していたように思います。というのも、まず自分たちは地元のガス会社、インフラ企業だという意識があるので、「ガス事業のお客さまの接点機会を使えばいい」という楽観論でした。ガス会社では、普段から点検業務をおこなっています。それと同時に電力販売のチラシをまけば、多くの世帯に告知できます。当時の契約数が16万強。うち5%が反応、契約したとして8000世帯、まずは十分だろうと考えていました。

しかし、この目論見は見事に外れました。なかなか思うように、売れない。それでも上層部に数字を報告しなければならない。当然、反応は渋い。そのときは「夏になったら波が来ます」など説明にならない説明で対応しました。しかし残念ながら、そんな波は来ない。その後も「新料金メニューを発表する秋になったら」など季節をずらして説明しつづけましたが、初年度は、目標の半分にも満たない実績で、大幅に未達成となりました。

2年目、自らティッシュ配りも。

2年目はどうしたのですか?

とにかく宣伝が必要と考え、初年度の途中から、ダイレクトメールの送付を開始しました。しかし契約世帯16万すべてに送るのは、費用がかかりすぎです。そこで送り先を絞り込んで送付することになりますが、その絞り方がわからない。結局あやふやな根拠で抽出して、送ってみる。しかし、反応は良くならない。次にどうすればよいかは、わからない。行き詰まりの状態でした。

それでも目標は達成しなければならない。できることは何でもやりました。ガス展やガスの大口のお客さまの社員食堂に出かけて、自らティッシュ配りもしました。それこそ「大多喜ガスです。電気の販売を始めました!」と連呼しながらです。必死でやりましたが、成果につながるのはわずか、目標には到底及ばない。ここからどうしたものかと、考えていたとき、上司が「こういうものがあるらしい」と言って、KIを紹介してくれました。まずはデモを見ることにしました。

KIのデモを見て

デモを見ての感想はいかがでしたか?

「ほしいな。何とか買えないかな」と思いました。当時の課題は、見込み客をどう見つけるか、どう名簿を絞り込んでいくかでした。世の中ではそれをKKD(勘、経験、度胸)で決めていると聞きましたが、私を含め当社メンバーには、そのKKDがまったくありません。ゼロです。だからデータを分析すれば、DMの送り先がわかるというKIは、魅力的に思えたのです。

ガス会社としての弊社にとって、前例のない取り組みではあります。しかし、それでも導入したい。資料を作り、部内で起案し、経営層にも説明し、ついに導入に至りました。

社内では慎重論も

導入に際し、反対論や慎重論はありましたか?

それはやはり、ありました。「これは、本当に必要なのか?」という意見です。しかし一方で「電力販売だけでなく他の営業でも使えるのでは」という積極的な意見もありました。実際、営業部の若い社員からの反響が大きかった。「データ営業を実践して自分を成長させる好機」ととらえたようです。

この時はコロナウイルスの大流行期と重なり、対面営業が難しくなった時期でもありました。会社全体が、対面以外の接触方法を模索していた時期であり、その意味でも、データ分析に関心が向けられました。

3年目、KI活用で目標達成

KI導入後の効果はどうでしたか?

ダイレクトメールの反応率にすぐ変化が出ました。従来、0.5%未満だったのが、1.2%、多いときは1.5%超まで向上しました。DMは毎回、数万通規模で送っているので、誤差、まぐれとも思えない。一度実験的に、KIが推奨するのと真逆の傾向の名簿にDMを送ってみました。すると、やはり結果数値が下がる。これは本物だと思えました。

全契約数16万強の5%、8000件を3年で獲得するという販売目標。1年目はまったくふるわず、2年目は全力疾走したものの、しかし及ばず、しかし3年目にKI導入でついに離陸し、最後は見事に目標達成できました。

他部門にもKI活用が広がる

社内の他部門の反応は?

当初は静観していた部門も、今はKIを積極活用してくれるようになりました。たとえば「エネファーム」「乾太くん」の営業。いずれも商品力はありますが、それなりに高価で、機器の設置スペースなどの理由ですべてのお客さまのご自宅に設置できる設備ではない、つまり現時点では、ご自宅の設備状況に加え、当人にとっての商品価値のほうが、価格を上回るという顧客、つまり「ぴったりハマる顧客」以外には、なかなか売れない商品です。

これら商品のDM送付先をどう見つけるか?従来は例によって「ガスの消費量が多いなら、エネファームにも関心があるだろう」といったあたりをつけて送っていましたが、結果はふるわかなかった。そこでKIで分析したところ、ガス消費量以外の特徴量も多く示されました。

KI推奨のリストにDM送付したところ、従来0.2%に届かなかった反応率が、なんと1%を超えました。もう一度、試したところ、やはり同じような結果になった。これは本物だということで、今は完全に積極活用モードになりました。

KIへの評価

これまで使ってみてのKIへの評価を教えてください。

使ってみてわかった良さということなら、これはもう「目標が達成できた」ことにつきます。KIがなかったら電力販売の目標は達成できていなかったでしょう。

また「とても使いやすい」のも良い点です。私は、もともとガス技術者だったので、ガス管の強度や圧力を解析するソフトウエアを日常的に使った経験があります。そうしたシステムは解析性能は高いものの、操作が難しいだけでなく、システムから出力される解析結果を理解することも難しいという代物、ゆえに業務担当者が固定化する課題もありました。

一方、KIはドラッグ&ドロップ感覚で気楽に分析できます。分析も数分~十数分で終わる。以前とはまったく別世界です。この、使いやすいという特色がなければ、KIの活用が、私たち電力販売部門から他の部門へ広がることはなかったでしょう。

そして副次的な良さとして「集計機能」があります。データ分析をする場合、下準備として、データの基本的な結合、整形のような作業があります。この作業もKIを使ってできますが、あるときこの機能が「集計」にも使えると気づきました。そして使ってみると、これがエクセルより遙かに便利で強力、高速です。最近は、ちょっとした集計にももっぱらKIを使っています。

あとKIは製品本体のほかサポートもとても良いです。

サポートへの評価

KIのサポートへの評価をお聞かせください。

データサイエンティストのサポートがすばらしい。要はキーエンスの人が「家庭教師」になってくれるんですよね。月に二回、曜日を決めて勉強会がある。勉強会の計画も立ててくれる。いい塾だなあと思います。

この勉強会には、「他部門からの野次馬参加もアリ」にしています。いま社内には、最近、データ分析が社内で盛んになっている、どんなものなのだろう、ちょっと勉強会をのぞいてみたい、という人は多いんです。「わたしも出席してもいい?」と聞かれたら、「どうぞ、どうぞ」と答えています。

先行ユーザーからのアドバイス

現在、KI導入を考えている企業に向け、先に使っている立場からアドバイスなどあればお聞かせください。

アドバイスはまず、「いい先生がつくので、先生に聞きましょう!」です。あとは「やってみれば、次の世界が開ける」こともお知らせしたいです。とりあえずデータを入れて、分析する、何か結果が出る。すると、次に自分が「本当はどんな結果を求めているのか」わかる。それを得るために足りないデータもわかってくる(あるいは勉強会で教えてもらえる)。すると、次にどんなアンケートをとれば良いかがわかる、このように発想、行動が連鎖展開していきます。

もう一つのアドバイスは「自社のデータを過小評価しない」ということです。最初、わたしは「ウチはお客さまのデータを蓄積していない。持っているデータを分析してもだめかもしれない」と不安に思うところもありました。契約者名、住所、ガス消費量ぐらいしかわからないし、みたいに。ただ、それでも分析したら結果が出ました。キーエンスの人によれば、自社データの過小評価はどの企業にも共通することだそうです。

今後の期待

キーエンスへの今後の期待をお聞かせください。

大多喜ガスは引き続き、インフラ企業としての責任を全うし、千葉県の皆様の生活向上に貢献していく所存です。キーエンスにはそうした弊社の取り組みを優れた技術、製品、サポートを通じ、後方支援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

大多喜ガス株式会社

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