射水ケーブルネットワーク株式会社

射水ケーブルネットワーク株式会社 取締役事業本部長 渡邊正樹氏、システム課 課長 黒川香里氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「データ分析を通じて、営業における『思い込み』から脱却し、データに基づいた判断を推進します」

射水ケーブルネットワーク株式会社について

射水ケーブルネットワーク株式会社は、富山県の射水市で、ケーブルテレビ、インターネット、固定電話、携帯電話など各種事業を展開するケーブルテレビ局です。射水市の全世帯に対しケーブルテレビの加入率は約72%、インターネットは約37%。「いま☆テレ」「文化のトビラ」など独自番組も展開しています。

設立 1992年
従業員数 36名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

活用状況・課題・効果

活用状況

  • ・マトリクス分析を使って現状を徹底的に可視化
  • ・要因ツリー機能により、その数字を生じさせている原因を瞬時に深堀分析
  • ・AFE(機械学習)機能を使い、解約予備軍の抽出、アップセル可能顧客の抽出
  • ・これまで把握が不十分だったロイヤルカスタマーへのCS向上、継続推進に注力

導入前の課題

  • ・ 従来のExcelを活用した分析では、テレビ、インターネット、固定電話、携帯電話、動画配信など複数のサービスをふまえた分析が困難だった
  • ・もともとサブスク業態であるためか、社内で数字への関心が不十分だった

導入効果

  • ・四半期ごとに契約コースの組合せ別の売上高と件数を把握し、定点観測ができるように
  • ・ 手つかずのブルーオーシャンと思っていた地域があまり伸びず、すでに開拓済みと思っていた地域がまだ伸びる。思い込みをくつがえす分析結果に

KIを活用し、要因分析による顧客分析を展開

射水ケーブルネットワークではKIをどう活用していますか?

現在、KIにより、要因分析機能を活用し、加入者の深堀り分析をおこなっています。

サービスごとの契約数を知るような単純な集計であればExcelでも十分ですが、弊社の場合、テレビ、インターネット、固定電話、携帯電話、動画配信など複数のサービスがあり、各サービスの中でさらに細かいコースに分かれています。この細かい分岐をふまえた分析はExcelでは追いつかず、KIを導入して大幅に可視化することに成功しました。

また従来は、一年を終えて数字を振り返ればなんとなく微増してはいるものの、どれが減ってどれが増えてといった内訳が、しっかり把握できていませんでした。やむなく半年に一度、手作業で内訳を分析しようとするものの、その頻度ではPDCAを回すのは難しい。

これからはKIを使って、様々なデータを定点観測し、四半期ごとに傾向を探り、社内にある課題・問題の「根幹要因」を認識していくことができます。

まずマトリクス分析を使い現状を徹底的に可視化します。そこから要因ツリーを使って数値の増減の原因を特定します。その分析を通し、AFE(機械学習)機能を用いて近い将来、解約する可能性の高い顧客の特性を把握し、上位からターゲティングした上で、何らかの形で接触し、アップセル活動や解約防止活動につなげていきます。

現在、キーエンスのデータサイエンティストとは定期的に会議の場を設けています。まず私たちが、今こういうデータがあり、それを使ってこうしたい、それにはどうすればよいか、と相談します。するとキーエンスから、こう並べ替えて、フィルターをかけてください、マスター作ってくださいなど、具体策の提示があります。定例会を実施するたびに、参加メンバーの意識やスキルが上がってきているのを実感しているところです。

KIを導入するにあたり、まずデータの整理・整形が必要になりました。古くて使ってない情報、以前のサービス名の名残、期中で契約が変わった時の区切りの問題など、修正すべき点が多かった。そこをキーエンスの指導を受けながら、整理していきました。

ただデータ形式の問題は、KI内部での変換ルールを一度確立してしまえば、あとは自動処理で済みます。以前に比べ、前処理や加工にかかる負担も、随分と楽になった印象です。

全体数字の内訳を把握する必要があった

KI導入前の課題について教えてください。

正直なところ、これまで弊社はデータへの意識が希薄であったと感じています。理由の一つに「ケーブルテレビ業界は、昔からサブスク形態だったから」ということがあります。年間契約の中で、毎月、定額の売り上げが積み上がるため、例年の経験上、ある程度の予測はやろうと思えば出来ます。一般的な製造業や小売業のように、「今月の売り上げはいくらで、来月の売り上げの着地点はいくらになるだろう」といった会話は基本的にあまりないのが実情です。

これまで売上高は「微増」が続いて来ましたが、この人口減少の時代に、中長期の目線でみるとそれも続きません。

特にテレビ自体の契約はここ1~2年、減少傾向であり、今後もこの傾向が続くと仮定すると、対策を練るにはやはりデータが必要になります。

そんな折、KIのことを知りました。説明を聞いて、これまで手作業でやっていた分析が容易にできそうだという期待感と、自分がやりたかったことが出来そうだと感じました。またキーエンス自身が、データに基づいて営業し、成果を上げている企業であり、そこにも惹かれました。キーエンスからは「データに基づいた意思決定、という文化を醸成しましょう」という言葉があり、力強く感じました。

エリア営業の「思い込み」がくつがえされる

現在までのKIの効果、評価をお聞かせください。

重要な指標を四半期ごとに定点観測していく、その土台が整ったと感じています。今後は数字に対する意識や危機感のようなものが社内に醸成され、顧客と接触するときの意識、対応も自然と変わるでしょう。

要因ツリー機能が特によいですね。プラスのボタンを押して深堀りをしていけば、次々とドリルダウンするのが、とてもわかりやすい。例えば、今月と前年同月で売上高に数百万円の差があったとして、その差は何の数字が積み上がってできたのか、それを知りたいときは、まずプラスボタンを押す。すると、要因がテレビなのか、テレビのどのコースなのか、ネットなのか、電話なのか、画面上にサッと表示されます。地区別、年齢別、契約形態別、契約年数別など、様々な切り口で要因を見ることも可能です。

KIの分析は、自分たちの思いこみをくつがえす結果が出ることもあり、気づきが多いですね。最近では、市場飽和に関して思い込みがあったことが把握できた場面がありました。

射水市は大雑把に言えば北側の旧市街に高齢者が多く、南側、新市街に比較的若い人が多い地域です。この場合、インターネットの契約は、やはり南側が多い。そうすると私たちは今まで、もう南側、つまり新市街は開拓しつくしたと思い込んでいました。南側で加入者はもう増えない、これからは契約者の少ない北側に注力すべき、そこは手つかずのブルーオーシャンだ、ということで、北地区に営業を集中してきました。しかし、結局、契約は伸びなかった。やはり高齢者にはインターネットのニーズそのものが少ないようでした。

その一方で、もう伸びないと思っていた南側が、まだまだ伸びるんですね。やりつくしたと思っていたのは単なる思い込みで、実はまだまだ施策を打ち、契約を伸ばしていける余地があることが分かりました。このようにKIお活用を通じて、多くの思い込み、固定観念に気づかされています。

ロイヤルカスタマーの育成へ

今後のKI活用の展望を教えてください。

今後はロイヤルカスタマーのCS向上に注力していきます。ロイヤルカスタマーとは、テレビの一番高価な多チャンネルコースに加え、インターネット、固定電話、スマホのすべてを10数年の長期にわたりご契約いただいているような、お得意様のことです。人口減で獲得が伸びない状況で、客単価の高いこの層の解約をいかに最低限に抑えるか、ここが今後重要になってきます。今まではそうしたロイヤルカスタマーの抽出そのものが難しかった。膨大なデータから契約年月日を拾い上げ、そこにネットや電話の契約状況も結合し、掛け合わせる。それがあまりに時間や負荷がかかりすぎて着手自体ができていなかったのです。

本来、こうしたお得意様には、長期契約特典を提案したり、あるいは「使い勝手はどうですか」とお伺いしたりするなど、何らかの定期的な接点を持つべきです。それがKIの導入により、ついに可能になります。

これからもさらに顧客を深掘りしたいですね。解約しそうな顧客、あるいは追加契約がありえそうな顧客の一覧など抽出していきたい。また、打った施策の結果検証もおこなっていきます。

数字を使って会話する社内文化へ

KIはみなさまにとって、どんな存在でしょうか?

私の中では知りたいことをすぐに教えてくれる右腕、デジタル秘書、そんな存在になりつつあります。

社内での会話が確実に変化しています。何事も数字で表現するようになった。従来であれば「以前より増えてきている」と言っていたところを、今は「前月と比べて何が何件多かった」のように基準点と数値を使う言い方に変わった。コミュニケーションにおいては、数字を使う方が齟齬が少なくなります。その方が「感覚」さえも、かえって共有しやすくなる気がします。この点はKIを導入して社内文化が変わった、一つの大きな効果のように感じています。

データを本当に見たい切り口で見るために

KIはどんな企業に向いていると思いますか?

どの会社にも販売管理システムはあり、ある程度は、データが見えているのだろうと思います。しかし、ただ定型的なデータが見えるだけで、本当に自分が見たい切り口で見ることができない。そして見たい切り口は時期や状況によって変わります。そんな不満を持っている会社に、KIは格好のツールだと思います。キーエンスには引き続きより良い技術、製品、提案、サポートなどを期待します。今後ともよろしくお願いします。

射水ケーブルネットワーク株式会社

「データ分析を通じて、営業における『思い込み』から脱却し、データに基づいた判断を推進します」

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