株式会社はなまる

株式会社はなまる 上席執行役員 営業戦略本部 本部長 神田 修二氏、リユース事業部 事業部長 森田 成亮氏に、KIを導入した経緯と今後の活用計画について詳しく聞きました。

「BtoB,BtoC事業の両方で、データ分析を使って強化していきます」

株式会社はなまる

株式会社はなまるは、自動車業界の活性化と産業廃棄物軽減に貢献していく企業です。

創業 1998年
年商 223億円
従業員数 397名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

循環型社会の実現を目指す企業

はなまるについて教えてください。

はなまるは、事故車の買い取り、販売を通じて循環型社会の実現に貢献する企業です。従来であれば廃車にするしかなかった事故車でも、当社が買い受けます。買い取り先、つまり当社にとっての仕入れ先は、自動車ディーラー、中古車販売店、修理工場などです。買い取った車は、自社の「車両管理センター」で保管し、30枚の写真と60箇所の検品項目をデータ化します。そして自社運営の「はなまるオークション」に掲載し、日本および世界110ヶ国、2万5000社におよぶオークション会員企業に向けて、競り売りしています。競り落とされた車は、多くは海外に運ばれ、修繕の後、再び中古車として販売されたり、あるいは分解の上、パーツ、資材として活用されています。

これらBtoBの事故車買取事業に加え、近年は、一般個人のお客様から車を買い取る、BtoCの「リユース事業」を強化しています。リユース事業では故障車より、むしろ低年式、10年超落ちの古い車、あるいは走行距離が10万キロを越す過走行車などを買い取っています。こうした車は国内では不人気でも、海外では日本車としての根強い需要があります。買い取った車はその後、当社サイト「リユースオークション」で販売しています。

KIを導入したのは今後、会社の業務全体にデータ分析を積極的に根付かせていくためです。

データはあるものの、活用しきれていなかった

KI導入前の課題を教えてください。

データはある程度揃っているものの、それを十分活用できていないことが課題でした。現在、社内にはSFAが導入されており、取引先へのコンタクト状況や商談の履歴、受注、失注状況など多くの営業活動がデータ保管されています。

しかし、それらのデータを有効に活用できているかといえばそうではなく、かつ営業の行動変容にも繋がっていませんでした。訪問先をどう選ぶか、いつ、何度行くか、どういう提案を持っていくかなど、すべて個人の采配に任せていました。

データを根拠に行動方針を定めて動くという社風ではなく、むしろ個々人の感覚、経験則を頼りに意思決定していました。感覚や経験はもちろん重要です。しかし、それだけではいけない。経験とデータ、両方を合わせ持つことでより強い組織に変わりたいと考えていました。

BtoB向け事故車買取事業での活用

今後、KIをどんな課題にどのように取り組んでいきますか?

まずBtoBの事故車買い取り事業ですが、今ある情報、つまり顧客情報、商品情報、行動情報、売上情報などを、KIで統合的に分析していきます。上手くいく営業にはどんな特徴があるのか、結果の要因は何なのかなども分析し、定量的な基準で業務を進める環境を作っていきたい。さらに管理職が部下を指導する際の参考情報にも使います。こうすれば高確率でこの結果になる、だったら、試しにそうしてみては、のような示唆を出す材料ができる。そうすることで、営業の行動変容に繋がるのではないかと考えています。

顧客への訪問頻度は意外に重要です。取引先で、いざ事故車が発生した際には、2,3社が呼ばれ競りになりますが、訪問していない場合、そもそも、はなまるが呼ばれません。事故車がいつ発生するか、そのタイミングは読めないので、これを防ぐには、適切な頻度で接触し、印象に残る提案をして、相手に「覚えてもらう」必要があります。直接訪問でなくても、携帯電話からでも良いので、一定の頻度で連絡したほうがよい。結局コンタクト回数が多いほど、機会に遭遇する確率が増えます。

そうして既存顧客を保持する一方で新規開拓や休眠顧客の発掘も同時に進めなければいけない。営業担当者は効率的に動く必要があります。

ところが、「とりあえず近くまで来たから立ち寄っておこう」ぐらいの基準で訪問先が選ばれているケースも、一定量存在します。ひたすら客先を転々と回り「事故車あったらご連絡ください」と言って名刺を置いていく。しかしその方法だけでは、全国47都道府県17万社の見込み先を、100人の営業担当者だけで、到底カバーしきれません。

現状、訪問先のランク分けはしています。しかし、そのターゲティングにしても、必ずしも企業規模が大きいから有力、といった単純判断はできない。小規模でも、高頻度で事故車が発生する所は確実にある。これは会社規模、従業員数、資本金、年商など一般公開された情報だけではわかりません。

そうでなく、今、本当に行くべき客先はここだよね、なぜならば...ということを、データに基づき客観的に判断したい。今あるデータを有効に活用すべく、KIを通じて、長い目で取り組んでいくべき課題と認識しています。

加えて要因分析、つまり成功パターンの特徴量の分析、要は「できる営業担当は、こういうことをやっているよね」という行動内容の解明、これにはぜひ取り組んでいきたい。分析を通じ、各自の強みと弱みを明らかにする。ディーラーに強い営業担当者、個人営業の板金・修理工場に強い担当者、あるいは地域特性なども影響します。高額車ばかり、軽自動車ばかり買っている担当者もいる。それぞれ個性がありますが、しかし、その個性も実際は、単なる食わず嫌いかもしれない。

そこを客観的なデータで出して、自分の状態を客観的に知ることで、弱点、あるいは食わず嫌いを是正するべく、じゃあ、今期はこういう所にこのぐらいの頻度で行ってみましょうという指針を、データを使って伝えていきたい。そうして行動してみれば、案外上手くいき、不得意が得意に変わるかもしれない。データ分析が、個人の成長に繋がる可能性もある、そのように考えています。

BtoC向けリユース事業での活用

BtoC向けリユース事業では、どう活用していきますか?

リユース事業は個人ユーザーからの問い合わせに対応する、受け型の営業になります。それら問い合わせに対応するオペレータの行動内容が、実際の成約率、付随する利益とどう関係するか、KIにより分析していきます。オペレータは、BtoB事業での営業担当者と違い、客先訪問などなにか能動的に動くことはありません。しかし実車を見に行く、査定するという工程なしに電話のやり取りだけで買取を完結させるこの仕事は、オペレータというよりは、電話で商談する仕入れ担当者のほうが近いといえます。

広告を出稿し、それに対して問い合わせが来る。それに1件1件対応する。個人ユーザーは、さまざまな買い取り業者に金額を聞いて回るものなので、最初の電話でクロージングに至ることはまずありません。そこで、こちらからフォロー電話を入れることになる。ではいつ、どのようなタイミングで架電するのが効率的か、その特徴量をKIを通じて分析していきたいと考えています。

現在はWeb集客が基本で、問い合わせの8割がWeb、2割が電話で来ますが、こちらからの対応は、すべて電話です。CTIは導入済みで、受電・架電の時間、通話時間などがわかるので、これをKIで分析し、全体の効率化に繋げていきます。

社内でデータ分析の機運が高まった背景

KIを選択した経緯を教えてください。

データ分析については以前から検討していましたが、導入の機運が高まったのはコロナ禍の時です。

コロナ禍では、当初3か月、業界全体が落ち込んだものの、その後すぐV字回復しました。これは新車の供給が滞り、その分、中古車が高騰したためと思われます。しかしその好況は一時的なもので、新車の供給が回復すれば、反動によって市況は厳しくなっていくはずです。そうなった時も企業として戦略的に成長するにはどうすれば良いか、そう考えたとき、やはりデータ分析に注力するべきという結論に至りました。

KIについては、データサイエンティストの伴走サポートに魅力を感じました。その仕組みを使えば、実際のデータ分析をおこないながら、同時に、社員のデータ分析に対するリテラシーも上げられるのではないかと考えています。

これを導入することで、はなまるはこれからデータ分析を強化するのだという、会社としての意思表示にもなります。その後、最終的に経営層からもGOがかかり、導入に至りました。

データサイエンティストへの期待と今後の展開

今後どのように導入を進めていきますか?

キーエンスのデータサイエンティストの伴走支援を受けながら、数年かけて組織全体にデータ分析を浸透させていきたいと考えています。

今後、1年間、キーエンスのデータサイエンティストから、データ分析の伴走支援を受けることになっています。最初にデータの分析の基本を学び、そして分析テーマを決め、PDCAを回していきます。

データ分析は、理想論だけ振り回しても肝心の現場が動いてくれません。分析した結果を「どのような場面で」「誰に対して」「どのように伝えるか」など、キーエンスとの定例会などを通じてしっかりと取り組んでいきたいと考えています。

まずは営業改善で活用しますが、将来は、人事やその他複数の部門にも展開できればと期待しています。それを見越して今回のプロジェクトには、複数部門の社員も参加してもらっています。営業関連の施策を作りながら、その過程で、もしこれを自部門で使うなら、どうなるかイメージしていきます。

今後、データ分析の活動を積み重ねる中で、会社全体に、各人がデータに基づいて行動する文化を浸透させたい。ひいてはデータに基づく形で、経営陣に客観的な提案ができるようになればなおよい。そしてそれを、データ活用人材が支えていくことが理想です。キーエンスには、優れた技術、製品、サポートを通じて支援いただくことを希望いたします。今後ともよろしくお願いします。

株式会社はなまる

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