インパクトホールディングス株式会社

インパクトホールディングス株式会社 IT総合戦略室 室⻑ 林 峻史⽒に、KIを導⼊した経緯と⽬的について詳しく聞きました。

「我々の業務データベースに、KIをつなぎっぱなしにして、半⾃動的にPDCAを回せる仕組みを構築していきます。」

インパクトホールディングス株式会社

インパクトホールディングス株式会社は「売場を元気に、⽇本を元気に、そして世界を元気に!」を理念とする店頭販促⽀援企業です。「インドでのコンビニ網の構築」も計画中。

年商 110億円
創立 2004年

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

店頭販促⽀援を展開

インパクトホールディングス(以下、インパクト)の事業内容を教えてください。

私たちインパクトホールディングスは、「売場を元気に、日本を元気に、そして世界を元気に!」を事業コンセプトとして、流通小売店舗(リアル店舗)におけるフィールドマーケティングサービスをワンストップで提供している会社です。⾷品、飲料、医薬品、日用雑貨、健康・美容・化粧品、家具・玩具、スポーツ・アパレル、飲食、商業施設、金融、サービス、流通小売などありとあらゆる業態が店舗店頭を活性化するためにおこなう活動を⽀援しています。事業セグメントとしては人を扱うHR(Human Resource)事業、リサーチをおこなうMR(Marketing Research)事業、デジタルサイネージを販売しているIoT(Internet of Things)事業とあり、それぞれが密接に関わりあいながら理想的な店舗店頭の実現をサポートしています。

私たちの組織はグループ会社のどの会社から依頼されても理想の店頭実現のためのPDCAサイクルがまわる形になっています。例えばPDCAのDoにあたるImpact field(株)の「ラウンダー」でドラッグストアやGMSなどの量販店に(株)impactTVの商材であるデジタルサイネージを持っていき、(株)伸和企画で制作したサイネージ一体型の什器の設置までおこないます。また、その後どうなったか、課題はないか、改善すべき点はないかと(株)RJCリサーチがCheckをおこなうことでより課題解決策も明確化され、次の施策を打ち出すこともできます。そうして次のDoに繋げていくことでPDCAサイクルを回すことを実現しています。その他にも推奨販売事業など販売強化をおこなっているcabic(株)・(株)サツキャリであったり、BPO・コールセンター事業をおこなっているJMS(株)であったりとサポートできる領域は多岐にわたります。

これらサービスを実現するために事業を支えてくれている会員が28万⼈おりまして、このインフラがあることで現場に対して効率的に理想の店頭実現を果たすことを可能としています。また、弊社流通小売出身者が約60%と現場のことをよく知っている者が多く在籍していることも一つの特徴となっています。

取引社数としましてはグループ全体で1,500社、フィールド業務としては年間110万を超える稼働をおこなっています。また、昨今では今まで蓄積してきた700万を超える店舗DBを活用することで、どこで販促をおこなうべきか自社の独自な視点から調べることが可能になりました。今後はデータも上手く活用していきながら理想の店頭を実現していきたいと考えています。

データ活用の目的

インパクトが、データ活⽤に取り組む⽬的について教えてください。

⼤きくは「社内データの活⽤による企業価値の向上」と「環境変化への対応⼒強化」の2点が⽬的です。

⽬的1.「社内データの活⽤による企業価値の向上」

弊社では、創業以来15年にわたり、⽇々、たくさんのスタッフが⽇本全国の⼩売り店舗を訪問してきました。そこで得たデータはすべて保管してあり、データは今後も増えつづけます。

しかし、そのデータはこれまで「保管してあるだけ」で、活⽤はできていませんでした。これは⾮常にもったいない話です。というのも、ラウンダーが⾜で集めたデータは、POSともまた違う独⾃の物、⽇本ではおそらく弊社だけが持っているデータだからです。このデータをPOSをはじめ各種情報と組み合わせ、詳細に分析し知見を得れば、新たな企業価値となりえます。

従来、弊社の主軸価値は28万⼈の登録スタッフでした。顧客からも人材を頼りにご依頼いただくことも多くありました。しかし今後はそれだけではなく、データ分析も強化し、「あそこは情報持ってるから」「データがあるから」と付加価値を提供できるようにしていきたい。スタッフが集めた情報のデータベースは、今社内では「店舗DB」と呼ばれています。「店舗DBの有効分析」「⽅法の早期確⽴」は、いま社内の共通課題、共通⾔語です。

⽬的2.「環境変化への対応」

この事例取材を受けている2021年5⽉現在、コロナ禍はまだ収束していません。そして「店舗」は、コロナ禍の影響を激しく受けた場所といえます。今のような「明⽇が分からない」状況では、弊社の顧客である消費財メーカーにとって、販促を「いつもどおり」おこなうことはむずかしいと考えています。このコロナ禍はどこかで収束するでしょう。しかし、いつまた、市場の前提を揺るがすほどの激しい変化が起きないとも限らない。

そんなときでもブレず、根拠をもって的確に変化に対応していく。その基礎となるのがデータです。今ある⼤量のデータの分析を推進することで、環境変化への対応⼒を強化したいと考えています。

このデータ分析に限らず、事業全体のDX化は、現在、全社的な課題です。これに対応する組織として新設されたのが、私が所属する「IT総合戦略室」です。現在の⼈員は私を含め4名。当⾯、KIは、私たちIT総合戦略室が中⼼になって活⽤していきます。

KIの用途

現在、KIをどう使っていますか?

今は「『店舗DB』の推進」「既存顧客への追加営業の促進」「スタッフ確保の効率化」の3点に取り組んでいます。

取り組み1.「『店舗DB』の推進」

活動を通じて蓄積された膨⼤なデータを分析します。オープンデータとも紐付けることで商圏分析もおこないつつ、「この種の商品なら、この種の店舗で、この時期、このような販促をすれば、売れる!」という知⾒を得ていきます。

取り組み2.「追加営業(クロスセル)の促進」

現在、弊社では電⼦看板、電⼦POPの事業が成⻑しています。ここで獲得した新規顧客に、ラウンダーなど他のサービスも売り込んでいきたい。この追加営業(クロスセル)を効率化するために、データ分析を活⽤します。どんな顧客にいつ、どういう形で接触すれば受注率(あるいは失注率)が⾼まるか、過去の営業データを分析し、知⾒を得ます。

取り組み3.「スタッフ確保の効率化」

店舗にスタッフを動員したいときは、その店舗の近くに住むスタッフに向け、「⾏きたい⼈は⼿を上げてください」と募集します。この時、すぐ⼈が確保できる案件もあれば、いつまでたっても誰も反応しない案件もあります。後者の場合は、ラウンダーに個別に電話して「すみません、⾏ってもらえませんか」と依頼しますが、これが⾮常に工数がかかる。ここでデータ分析を通じ、前者の「サッと⼈が集まる案件」の傾向を知り、それを活⽤してラウンダー確保の迅速化、効率化を⽬指します。

KIは、使い始めたばかりですが、どの課題でも、既に「⼿応えある分析」ができている、そんな実感があります。

KI導入前の状況開

KI導⼊前は、データ分析にどう取り組んでいましたか?

まずは⼿近にある道具で、と思い最初はエクセルで始めました。データベースから直接データを引き抜いて、エクセルで分析を試してみる。しかし、あまりに条件や変数が多すぎて、到底収拾がつかない。そのため多くの時間を要していた現実がありました。

次は、「データ分析の外注」を試みました。外部の専⾨企業に、特定の課題の分析を依頼する、という形式です。しかし、これも上⼿くいかなかったです。まず時間。3ヶ⽉もかかる、遅すぎる。次に費⽤。何百万とかかる、⾼い。そして分析内容。正直、「何百万も払って3カ⽉かけて、この内容?こんな当たり前のこと、分析するまでもなくわかる」と言う状態でした。この感想は社内の誰もが感じたらしく、正直、それから「機械学習を敬遠する雰囲気」が社内に広がりました。

そんなとき、社内の他部⾨を通じて、KIのことを知りました。まずはデモを⾒ることにしました。

新たな構想

デモを⾒て、いかがでしたか?

「衝撃」でした。今までやりたかったことが、ソフトウエア上で実現している。すごい!と単純に思いました。

とはいえその後、すぐに導⼊に向けて検討開始、とはならなかった。社内にはまだ、データ分析や機械学習への忌避感が残っており、費⽤をかけてツールを導⼊できる雰囲気ではありませんでした。

しかし、それから⼀年が過ぎ、キーエンスが懲りずに、再び営業に来てくれました(笑)。バージョンが上がり、機能も増えたので、ぜひ⾒てほしいと。そのデモも衝撃的でした。最⼤の収穫は、「この仕様なら、⾃動で動く『中間データベース』のような位置づけとして使えるのでは?」ということに気づけたことです。私は新卒で入社して以来、叩き上げの技術者です。これからのITの在り方を考えていく上でKIを上⼿く使えば、次のような「⾃動分析、⾃動PDCAのフロー」が実現できそうに感じました。

  • 1.KIを基幹データベースとつなぐ。
  • 2.DBからKIへデータを吸い上げる。そのデータをKIで、すぐに分析する。
  • 3.解析結果を基幹データベースに戻す(2に戻る)。

たとえば、店舗DBでは常に最新の店舗データを保持している必要があるため、自動でデータベースから情報を収集し、KIで予測した結果をさらに次の抽出に活用できるようにすることで工数を圧倒的に圧縮できます。また、「スタッフ確保の効率化」などは、この仕組みを使ってDBの⾃動分析を繰り返し、最終的には、最適の募集形態を「半⾃動的に」取れるようにすることで今まで人が考えて分析していた工数も圧縮できます。これ以外にも、さまざまな構想が沸き上がってくる。こうなったからには、実際にやってみないと気がすみません。私の⼼に⽕が着き、KI導⼊に向け、社内提案を始めました。

社内へのはたらきかけ

どのような活動をしましたか?

まず「キーエンスによる経営層への直接プレゼン」の場を設けました。KIのすごさは、直接デモを⾒るのが、最も実感できるからです。結果、プレゼンは経営層にも好評でした。

弊社では、「特定⽤途に偏った製品でなく、さまざまな⽤途に使えるものが良い」と考える傾向があります。「⼀粒で、三度四度でも美味しい」ものがよいわけです。その点、KIは「店舗DBの推進」「スタッフ確保の効率化」など、複数⽤途の展開が可能な商品であり、⾼評価でした。

当時、「店舗DBの推進」が社内で強く意識されていたことも幸いしました。上層部からは「もっとスピードを上げよう。⼈を追加投⼊するか」と打診されました。しかしデータ分析ではある程度スキルが求められ頭数だけ増えても教育コスト、人件費も増えていきます。更に戦力になるまでには時間がかかるので、双方を解決する良いシステムがあれば、⼈⼿があるより助かります。経営層に「今は⼈⼿より、しくみがある⽅が、スピードが上がります」と伝え、理解を得ました。

こうして、KI導⼊が決定しました。

KI使いこなしの道筋

実際にKIを使ってみてどうでしたか?

最初は、すごく期待値が⾼かった。それは「なんかデータをつっこめば、なんか結果が出るよね」という期待です。で、適当にデータを突っ込みましたが、意味不明の分析結果が出てくるだけでした。今思えば、当然の結果でした。

そこで、早速、キーエンスのデータサイエンティストに相談し、⽅向修正しました。すると、良さそうな結果が出てくる。そのうちコツもつかめ、安定的に良い分析ができるようになる。その「分析の型」がわかってくると、だんだんと⾃⼒で分析できるようになりました。しばらくはこの調⼦で進みそうです。壁にぶつかったら、またデータサイエンティストに相談すれば良い。「KI使いこなしの道筋」は、⾒えたように思います。

先行ユーザーからのアドバイス

KIの導⼊を検討している企業向けに、先に使っている⽴場からのアドバイスなどあればお聞かせください。

KI導⼊直後は、私と同じく、根拠のない期待感が⾼まると思います。それで良いと思います。そういうワクワク感がないと、データ分析なんて始められません。

ただ、最初は⾼確率で失敗する。がっかりするはずです。でも、それでOK。とにかく「早期に失敗すること」が重要です。そしたらすぐさまデータサイエンティストに相談すればいい。そして早期に間違いを是正し、⽅向修正する、それが重要です。機械学習をこれだけ簡単に短期間のサイクルで失敗まで経験できるツールは他では見ません。

私個⼈は、データサイエンティストに相談できて、本当に助かりました。あれがなかったら、「間違った⽅向に全⼒で⾛り続けていた」可能性が⾼い。これからKIを使う⽅も、最初の段階で⾃分が間違うことは織り込んだ上で、早期に失敗し、早期に⽅向修正することをおすすめします。

インパクトホールディングスは、引き続き店舗を元気にし、⽇本を元気に、世界を元気にするべく、データ分析をさらに推進し、企業価値を⾼めていく所存です。キーエンスはそうした弊社の取り組みを、優れた技術、製品、サポートを通じて⽀援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

インパクトホールディングス株式会社

「我々の業務データベースに、KIをつなぎっぱなしにして、半⾃動的にPDCAを回せる仕組みを構築していきます。」

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