キリンビールでは、KIをどう活用していますか?
私たち広域流通第2支社EC部の業務は、Amazon、Yahoo!shopping、楽天などECモールで、ビールなど各種商品を拡販することです。KIは、そのためのデータ分析に使っています。
酒類販売は大きく、居酒屋など飲食店向けと、スーパー、コンビニなど量販店向けに二分されます。私たちEC部門が属するのは後者です。通常、EC部門といえば、自社商品を自社サイトで「直接販売」する形が一般的ですが、私たち広域流通第2支社EC部が担当するのは、Amazon、Yahoo!shopping、楽天などのECモールで、酒類をお取り扱いなさっている小売企業様に、卸様を通じて商品をお届けし、消費者の皆様にご販売いただくという間接流通チャネルとなります。
現在、統計によれば、日本のビールをはじめ食品・飲料のEC販売は、毎年20%増しで伸びています。弊社製品のEC流通も、ここ数年、著しく伸⻑しています。特に最近は巣ごもり需要が高まり、さらに販売が増えました。
本来、ビールのような「運ぶのが重い」商品は宅配に向いています。昭和30年代、40年代には、酒屋さんが瓶ビールのケースを家庭まで届ける形もよく見られました。
現代で瓶ビールのケースに相当するのは、350ミリ缶の24本セットなどですが、それなりに重さがあります。昨今EC需要が伸びている背景として、すぐに買えて自宅まで配送してもらえる手軽さが、伸⻑理由のひとつだと考えます。
この利便性は「一度、体感すれば」わかってもらえます。しかし、「お酒は、お店で買う物」という考えが強い消費者には、その「最初の一度」を体験してもらうのが難しい。逆に言えば、一度、体験してもらえれば、消費者は持ち帰らなくてよい利便性に気づき、その後も継続利用することが期待できます。昨今、ビールのEC流通は都市部で急速に伸びています。今後はこの動きが地方にも波及すると予測しています。
ECには、店舗のような「棚」の概念がありません。従来は、限られた店頭空間でいかに良い場所を取るか、目立たせていくかが重要でしたが、ECではよりパーソナライズされた顧客接点になります。またECは「365日24時間開店」なので、TVやスマホで何かを見て、その後すぐに買うという消費行動もありえます。
「ECは顧客データがわかる、一対一にパーソナライズした販促も可能」という点も特徴です。お酒を購入してくださるお客様が「ページをどのように回遊したか」、「どのような告知・広告に接触したか」、また、「なにを見て買った/買わなかったのか」など、お客様の行動情報をもとに販促を検討することができます。
ECでは顧客に紐づいた詳細なデータが蓄積されています。それを分析すれば、顧客動向を精緻に知ることができます。
提供されるデータはEC流通それぞれで異なりますが、大きくはPOSデータ、ID-POSデータ、行動データの3種類となります。「いつ、どこで、何が、どれだけ売れたか」という商品軸のデータに加え、「どんな人が、どのような行動履歴で」買ったのかまでわかるデータです。「年齢、性別」など属性情報、「購入するまでにどのページを見ていたか、商品を何番目にカゴに入れたのか」といった行動履歴がわかることにより、「ある人が、今日は○○を検討し、二週間後には××を買い、その後、一か月毎に○○を10本ずつ買うようになった」などの情報を、匿名化された状態で認識できます。
流通によっては「すべての販売情報」が提供されることがあります。「すべて」というのは、他社の販売情報も入っているということです。従来、他社の状況は、「営業マンのカン」「関係者へのヒアリング」などあいまいな形でしかわかりませんでした。しかし今はID-POSデータという一次情報を通じて認識できます。データは、毎週、毎月、毎年蓄積される膨大なものです。ここまで最終消費者と他社情報が詳しくわかることは、お客様を知る貴重な機会となります。
これらデータは当然、精密に分析し、フル活用する必要がある。KIは、そのために活用しています。