株式会社ナンシン

株式会社ナンシン 代表取締役社長 諏訪隆博氏を中心に、営業本部 業務部長 山井裕賢氏、オペレーション企画室 課長代理 盛岡浩希氏、情報システム課長 清水孝祐氏、同室 横山克也氏、経営企画室長 酒井孝明氏、同室 馬込悠哉氏に、KIを導入した経緯とその効果について詳しく聞きました。

「週次、月次の営業会議はKIの画面を直接見て、その場で報告、要因分析します。紙資料の配付はやめました」

株式会社ナンシンについて

株式会社ナンシンはキャスター、台車の分野で日本有数のシェアを持つ企業です。昭和7年設立、今年で創業91年目になります。どこで押しても音がほぼしない、静寂性に優れた「サイレントマスター」は、主力商品のひとつです。東京本社のほか、大阪、名古屋、九州に営業所、千葉、マレーシア、中国に生産拠点があります。

創業 昭和7年11月
年商 98億800万円
従業員数 177名

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

活用状況・課題・効果

活用状況

  • ・週次のマネジメント会議で、予算への未達、到達、超過など営業報告、予実乖離の原因分析を、KIのマトリックス画面、要因ツリーを使って実施。
  • ・月次の経営会議では、売り上げのほかコストのデータも投入し、損益分析をおこなう
  • ・毎朝9時過ぎに、全社の売り上げ状況について、KIの画面キャプチャを社内ポータルに掲載することで、社内に速報として通知。

導入前の課題

  • ・従来は基幹システムのデータをエクセルで加工し会議資料を制作、印刷、配布していた。この場合、データの「加工」の段階で、営業担当者が自分の強調したいこと、すなわちバイアスがかかった状態で加工する傾向があった。
  • ・最も重要な、予算未達(あるいは到達、超過)の理由、原因の分析が明確になっていなかった。

KIへの評価、導入効果

  • ・KIでは、起きている事実がそのまま集計、提示される。それを見て具体的に質問すれば、具体的な回答が返ってくるように。
  • ・KIでは、予実の差の大きい順に並べて表示するように設定。知りたい事実に対して、すぐにアプローチができる。
  • ・営業担当者と顧客との対話が密になった(密にならざるを得ない、仕組みが確立した)

週次、月次の営業会議ではKIを使って報告、分析

ナンシンでは、KIをどのように活用していますか?

KIは営業部全体で活用しています。まず週次のマネジメント会議。ここでは予算への未達、到達、超過など営業報告、予実乖離の原因分析を、KIのマトリックス画面、要因ツリーを使っておこないます。

会議には本店社員に加え、各支店の社員もzoomなどでリモート参加します。支店が報告するときは、支店側がKIを自分で操作し、それをzoomで画面共有します。営業部全体の約半数が、KIを「操作できる」状態となっています。

こうして営業進捗について「この調子が続くなら計画より良いな/テコ入れが必要だな」など共通認識、見通しを持ちます。さらに、今なぜこの数字、進捗なのか、要因を毎週分析します。加えて月次の経営会議では、売り上げのほかコストのデータも投入し、損益分析をおこないます。

KIで使うデータは、基幹システムから、日次バッチ更新で引き出しています。売り上げデータは、朝9時過ぎにKIの画面キャプチャを社内ポータルに掲載することで、毎日、最新のものを速報しています。

KIは、社員が営業状況をあまねく等しく認識するための「全社共通のインフラツール」といえます。

エクセルによる、会議資料作りの落とし穴

KIを導入する以前は、営業会議をどのように運営していたのですか?

以前はBIツールで整理したデータをエクセルなどで加工して資料を作り、会議の時、それを印刷し配布していました。

しかし、この「データを加工して」という工程が一つポイントで、その加工段階でどうしても営業担当のバイアスがかかった状態、すなわち主観や思い込みが入り込んだ状態で、加工するようになる。これでは、「本当に正しい状態が見えづらい、把握しづらい状態になる」というような課題感がありました。

経営側としては、予実が異なること自体は当然のこととして捉えています。未達、予実が異なること自体が、悪ではない。未来のことはわからない。100と計画していたものが70あるいは50で終わる、これは起き得ることです。ここから要因や原因を追究し、分析し、有効な手を打とうとする。この段階において、主観、思い込みといった要素を排除し、いかにデータによる客観的で、合理的な判断ができるかが、今後重要になってくる、そういった思いがありました。

特に大事なのは、原因分析です。価格が合わなくて、注文が他に行ったのなら、価格対応ができるかなとか、あるいは何かクレームの対応が悪かったのかなとか。あるいは、たまたま向こうの生産活動のタイミングがずれて、注文も1か月ずれただけかもしれない。どの顧客が予定と違ったのか(増えた場合でも減った場合でも)。特定のキャスター製品の売れ行きが落ちているなら、その現象をどう理解するべきか、顧客軸か、それとも製品軸か、それをどう見る(知る)べきか、そこを深く考えるべきなのです。

従来もBIのダッシュボードを使った集計を試みました。でも「型」にはまってないのが逆に良くなかった。型がないと、営業部がどうしても、こう見せたいと思う方向に加工してしまうのです。

しかしKIでは、起きている事実がそのまま集計、提示されます。これにより、「この顧客この数字にマイナスあるいはプラスがあるね、それはなにがあったの?」と簡単に質問できます。そこまで具体的にピンポイントに会話や議論を進めることで、よりスピード感をもって本質に近づいている、そのような実感があります。

またBIデータからの「加工(転記、再計算)」には、その過程で数字の間違いが生じる可能性もあります。さらにリスクとしては、最終的に加工したエクセル画面を見ただけでは、その間違いに気づけないことです。またエクセルのフォーマットが、西日本エリアと東日本エリアで異なるような問題もありました。KIには「型」があり、自動集計、分析されたデータに対して全員がアクセスすることができ、同じ数字を共通認識として確認できるのが良い点です。それは「標準化されている」ことであり、だから、みなが同じ認識、同じレベルで会話できます。

あとは資料作成の時間的なことですね。以前は月次の営業会議では膨大な時間とエネルギーをかけて、資料を作っていました。会議の2、3日前になると、それまで毎日外に出ていた営業担当者が、急に社内にこもって、資料を作りはじめる。日中、社内にいられない担当者は、帰社してから遅くまで残業し、資料作成する。そういう行動が、全国多くの営業拠点でおこなわれていました。

しかし、ここまで労力をかけているのに、経営層が「見たい、把握したい」内容とはずれが生じている、こういったことが少なからずありました。

加えて、会議では定性的な発言が多く、議論が噛み合わずに、会議時間も相当に長引いていました。例えば目標未達について、要因や状況を尋ねても、「タイミングがズレているだけで、あと3か月後に注文が来るはずです」といった、あまり実質を伴わない答えが返ってくることもありました。

本来は、営業一人一人が、顧客に何が起きているのか、見て見ぬふりせずよく見て、その情報をもとに、みなで原因について議論する、そのための仕組みが必要でした。

そんな折、KIの存在を知ったのです。

KIの存在を知り、1か月後に即導入

今回、KIの導入に至った経緯を教えてください。

このままBIとエクセルを続けているのはまずい。そう思っていた時、取締役からKIが紹介され、直感で「じゃあ話を聞いてみます」と会ってみたら、KIは経営者として克服したいことに、イメージがぴったりでした。今まで自分が苦心してあの手この手で営業担当者から引き出していたこと、それがKIでは画面にそのまま映し出されている。

さらに具体的な説明を受け、納得がいったので、すぐ契約しました。話を聞いて1か月後には契約していましたね。

現場社員が、「自分を守りたい一心で、無意識に良い数字だけを強調する」従来の在り方から、「明確な課題意識を持ち、解決策を考える」方向へ、KIを使って社内の意識を変えたいと考えました。

今、なにが起きているのかを知る。それを素直に受け止め、分析し、解決に向け思考する、これは現在の問題解決にとどまらず、次世代の育成においても重要なことです。

KI導入後は「営業会議の資料準備は不要」と伝えました。主観や思い込みが入り込んだあいまいな資料より、KI上のごまかしの利かない数字の方がよい。またKIを使えば短時間で知りたいことにたどり着ける。以前は自力でエクセルをこねくり回し、「ここなのかな」とやっていたのが、今ではKIにより最短でアプローチし、すぐ見つけられます。

資料準備が不要になれば、それに費やしていた月2営業日、つまり1か月20日間のうち10%の時間が、そっくり顧客向けの活動に振り向けられることになる、これも大きいですね。これだけでも、業績に直結する変化だと言えます。

KI導入の際は「こういう数字、情報をみんなでシンプルに見られるようにしたい」という経営層のゴールイメージを伝えました。担当者に「こういうことはできるのか」と尋ねる。すると担当者がキーエンスのサポート担当者にできるかできないかを確認する。この作業をかなり濃密に繰り返したので、KIは、あっという間に「使える状態」になりました。

データ分析を使って「タイミングの良い営業」を実現する

KI導入後の変化について教えてください。

現場の意識は相当に変わりました。営業会議では、「今月、今週、これだけ差があります」という説明が、わざわざ求めなくても最初から来るようになりました。

以前は担当者の説明を聞くとき、自分の知りたいことを知るために、次にどこを尋ねるべきか、特にどの部分に強弱をつけ、注意を払うべきかを事前に準備しておく必要がありました。しかし今はKIの画面上に知りたいことが、最初からすべてあります。事前に経営層側でも確認や把握ができるため、話が早いです。

それでも不明なことはマトリックスや要因ツリーでさらに深掘りすればよいし、そもそも「不明な点が特定される」、それ自体が大きな進歩です。

会議では常に「なぜ?」が尋ねられます。報告者はそれに答えるために準備しなければいけない。つまり普段から顧客と会話していないといけないということです。従来は看過、後回ししていたところを、今は事前に動く必要があります。

過去、コロナ禍の影響で、顧客と積極的に対面コミュニケーションをとるのが容易でなくなりました。加えて、当然ながら競合他社も企業努力をしているわけです。

ところが以前は、営業担当者は、自分が意識的に頑張っていることに目がいきがちで、水面下で起きている競合他社と顧客との接点など、不都合なことに意識が向いていませんでした。

意識がないから、顧客に変化の兆しがあっても「なにかあったのですか?」と聞かない。こうなると、競合他社と顧客との接点といった、潜在的なリスクに気が付かない、という懸念がありました。

しかし今は数字の減り方に違和感があるとき、あるいは急に注文が途絶えたりしたとき、KIの分析結果を通じ、1週間、遅くとも1か月以内には気づくことができます。

営業はタイミングが重要で、1年後に気づいて「何があったのでしょうか」と聞いても「今頃、何しに来たの?」となる。だからこそタイムリーに違和感に気づく必要があります。理想的なケースでは、顧客から「よく見ていた」と評価され、チャンスに変わることもあり得ます。問題が起こった1日後とか、それくらいテンポ良ければ、お客様との関係が修復できることも、あったりするんですよね。

顧客側の「変化」はどうしても起きるもので、それに一喜一憂しても仕方がない。そのとき営業担当者のやるべきことは、変化を受け止め、それを早く社内に伝え、場合によっては上司に出動してもらったりすることです。繰り返しになりますが、主観や思い込みをできるだけ排除し、いかにデータを使って客観的に、合理的に変化を捉え、判断に繋げられるか、ここが最も重要な点であると考えています。KIを通じて、こういった意識の変化や風土が、徐々に醸成され拡がっていると、感じています。

社員全員が「同じ絵」を見ることの重要性

KIへの評価をお聞かせください。

サポートは相当にスピード感があります。定例会議の場は単なるミーティングでなく、その時その時の課題について集中的に相談し、学べます。メールでも迅速、的確な回答が返ってくる。導入一か月後には、当初やりたいと考えていたことが、相当に実現できたのではないかと感じています。

KIの操作性、使い勝手は非常に良いです。要因ツリーでは、知りたい箇所をクリックすれば、次の要因がパッと示される。その差がマイナスなのかプラスなのかも見てすぐわかる。事前学習なしの直感だけでもすぐに操作できます。

マトリックス上で2つの値に大きな差があったとする。それはなぜだろうと考える、そのとき画面上で2つの値を選んでボタンを押せば、すぐ要因ツリーが表示されます。それを見て、さらに細かい疑問が湧いたなら、同じように要因ツリーを展開していけばいい。これはかなり分かりやすく、誰でもできます。

分析ツールの操作が難しく、現場社員が自分で使えない場合、データを活用したい人と作業する人が別になり、これこそが滞留のもとになります。そのうちに、「時間がかかる」「依頼した内容と納品物が異なる」などのネガティブな感情の積み重ねにより、ツールは次第に使われなくなっていく。しかし誰でも使えるツールなら、活用も作業も同じ人ができるので、ツールは使われ続けますし、インフラ化していきます。また現場が自分で作業できるなら、その分、経営側、情報シス側の手数が減り、社内全体の業務効率化にもつながります。

またKIの活用は会議の質の向上にもつながっています。会議はなるべく短く、論点をずらさず話し合いたい。KIのような標準化が行き届いたツールがあればそれが可能になります。

きっと世の中にはもっと複雑で専門的な分析ツールもあるのでしょう。しかしあれもこれもと求めると、結局、迷路に迷い込んで、使いこなせなくなる。そうでなく、これとこれだけ見られればいいんだ、と目標をシンプルにしていく。その場合は、KIのような標準化・汎用化されたツールが最適です。

大事なことは、経営部門も営業部門も生産部門も含め全員が、「同じ絵」を見ることです。この「同じ絵」とは、数字、事実を一枚絵にしたような表現形態、イメージのことです。

社内で議論するとき、売る人、作る人など立場ごとに見る角度が変わり、気になるポイントも部署ごとに異なるものです。それでもなお一つの事実、数字に基づいて議論するかぎり、会話もそれほどずれません。そのように認識を揃えて初めて、では問題解決のために、どの部門が、誰が頑張るのがいいのかという、次の議論が可能になります。

今は営業中心に使っていますが、今後は、生産基幹システムのデータをKIで分析し、営業受注とバランスの取れた生産計画を作っていきたい。弊社は国内のほか、マレーシアにも主要な生産拠点があります。マレーシアから日本まで商品を船で運ぶのには、2~3週間を要します。そのズレも含む形で受注に合わせて、生産計画を立てられれば、弊社も次のステージに行けるでしょう。

KIは今や弊社になくてはならない存在、インフラです。もっと使い込んでいきたいですね。

キーエンスには、引き続きデータの活用について、高い技術、製品、サポートを通じて支援いただくことを希望いたします。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

株式会社ナンシン

「週次、月次の営業会議はKIの画面を直接見て、その場で報告、要因分析します。紙資料の配付はやめました」

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