いくつかの視点を通じて説明いたします。
視点1.「まず優良顧客を知ること」
BIGLOBEはインターネットプロバイダ企業として事業を始めましたが、現在は格安SIM、格安スマホ、光回線、電⼒などさまざまなサービスの販売に注⼒しています。これら事業の共通点は、いずれも「ストックビジネス」であるという点です。
ストックビジネスは製品やサービスによるメリットはもちろん、いかに顧客とよい関係性を築き、長くご利用いただくかが重要です。いかに多くの「優良顧客」を得ることができるか。ここでいう優良顧客とは「ライフタイムバリュー(LTV)の⾼い顧客」、つまり契約期間、購買頻度、件数、⾦額の積が⾼い、「⻑く、さまざまなサービスをご利用してくださるお客様」です。「現在の優良顧客」をデータ分析から知ることで、既存顧客を優良顧客化することや優良顧客になりやすい属性の方に新規購入を促すことができると考えています。
視点2.「ノーストレスで心地よいコミュニケーション」
顧客への接触は本来、こちら都合でなく顧客都合でおこなわれるべきです。つまり、顧客から⾒て、「必要なときは呼ばなくても来てくれる。必要ないときは放っておいてくれる」「『これがほしいなあ』、と思ったそのタイミングで、それが⼿に⼊る」ような接触です。この理想の顧客接触を実現するために、データ分析を活⽤したいと考えています。私たちには多くの顧客情報があり、Web上のコミュニケーションも多く顧客の挙動も⽐較的つかみやすい状況です。これらデータをよく分析し、顧客の挙動や感情を緻密に認識し、最良のオファーを最良のタイミングで提供していきたいと考えています。
視点3.「むやみにメールは送りたくない」
メールやメッセージなどの⼿段を使えば、顧客接触を安価かつ⼤量、⾼頻度でおこなえます。つまり、試⾏錯誤がやりやすい状況といえます。ただここには落とし⽳があり、この「容易に顧客接触できる」という前提は競合他社も同じなので、安易に乱発しても、⽬⽴たず埋もれてしまいます。そして、埋もれるだけならまだしも不要な連絡を頻繁にすることは顧客に「マイナス感情」を持たれる可能性さえあります。これはあってはならないことです。顧客接触のタイミング、頻度、内容はよくよく精査する必要があります。
顧客の情報優位性はさらに上がり、タイミングと質が求めるものと合っていなければスルーされる、度が過ぎるとコンタクトを拒否されてしまいます。従来、私たちは顧客の反応を知るために、「何らかのマーケティング施策を通じて、顧客に、少しタッチしてみる」という⽅法をとってきました。しかし、今はその「少しタッチする」⾏為⾃体も非常に慎重におこなわなければネガティブな印象を残す可能性があります。よって、タッチをする前のデータ分析、シミュレーションの精度を上げたいと強く考えていました。
視点4.「素早く、何度も分析する(じっくり正確に、では間に合わない)」
通信、ネットの世界では、毎⽉のように外部環境が変わります。環境が変われば、顧客の意識も変わる。にも関わらず「四半期初めに仮説を⽴て、それを3ヶ⽉かけて実⾏し…」というスピード感では、とうてい間に合わない。環境や前提が変わったときは、分析もやり直す。そして必要に応じて仮説を修正する。データ分析は正確なだけでなく、⾼速であることも必要です。
こうした課題意識を抱えていたある⽇、営業に強いことで知られているキーエンスがデータ分析ツール、KIを発表したと知りました。早速デモを⾒て、その後、社内で本格的に精査・検討しました。