株式会社鎌倉新書

株式会社鎌倉新書 プロダクト開発部部⻑ 溝⼝ 健治⽒、⼤河原 由⾐⽒、葬儀部⾨マネージャー 村上 慧悟⽒に、KIを導⼊した経緯と⽬的について詳しく聞きました。

「BIではできないことを、KIのデータ分析で実現していきます」

株式会社鎌倉新書について

株式会社鎌倉新書は、葬儀、お墓、仏壇などのポータルサイト運営を主軸とする会社です。設⽴1984年、年商25億円、従業員数147名。東証⼀部上場。

年商 25億円
従業員数 147名
創業 1984年

※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。

葬儀やお墓のポータルサイト運営

鎌倉新書の事業について教えてください。

鎌倉新書の主な事業は「いい葬儀」「いいお墓」「いい仏壇」などのポータルサイトの運営です。「葬儀、お墓、仏壇などを買いたいひと」と「それらを提供したい会社」を結びつけます。仕組みとしては、SUUMOさん、⼀休さん、booking.comさんなどと似た業態です。

収益は、提供側の企業様からの「成約⼿数料」です。料⾦は、問い合わせではなく、成約に対して発⽣します。成功報酬型の仕組みです。

おかげさまで2017年には東証⼀部に上場。2018年1⽉期の売上は前年⽐で28%増、19年1⽉期は同46%増と急成⻑しています。直近5年の成⻑率は年平均で26%です。

「いい葬儀」の特殊性

「いい葬儀」の特性、集客上の課題について教えてください。

⼤きくは次の5点が上げられます。

特性1.問い合わせは9割が電話

「いい葬儀」では問い合わせの9割が電話です。葬儀は「今すぐ必ずやらねばならない」という緊急性の⾼いライフイベントなので、スピード優先、メールでは遅い、電話の⽅が早い、というニーズの構造です。ホームページには右上に電話番号を⼤きく載せています。サービスの性質上、電話は当然24時間対応。弊社では約50⼈の電話受け付けスタッフを「コンシェルジュ」と呼んでいます。

特性2.葬儀とお墓で顧客ニーズが根本的に違う

緊急性の⾼い葬儀に対し、お墓はもっとゆっくり、時間をかけて選ぶケースが多く⾒受けられます。葬儀においては、「良い葬儀社を、はやく教えてほしい」というのがニーズですが、お墓では「⾃分のペースで、焦らず検討したい」となります。葬儀とお墓では、ニーズ構造が根本的に異なります。

特性3.葬儀は詳しいホームページがあっても、結局、よくわからない

葬儀は「誰にとっても初めての経験となる、無形イベント」なので、顧客が独⼒で企業を選択、意思決定するのが困難です。ホテルの予約なら、ホームページで価格や部屋の写真を⾒れば⾃分で決められますが、葬儀の場合は、ホームページがいくら詳しくても、結局のところ、よくわからない。できれば誰かに相談したい。ここに「葬儀会社ではない、第三者による電話相談」のニーズが⽣じるわけです。

特性4.通常のネットマーケティング⼿法は禁じ⼿(ほぼ使えない)

BtoC商品は、通常「幸せや喜び」「ワクワク・ドキドキ」を実現するものですが、葬祭は対極に位置するイベントです。通常、ECサイトでは、年末年始、ゴールデンウイーク、クリスマスなどカレンダーに合わせて販促したり、クーポンやアプリでキャンペーンを打ったりしますが、そうしたマーケティング⼿法は、この業界ではすべて禁じ⼿です。

特性5.電話接客の技術が最重要

弊社にご相談いただくお客様は、ご⾃⾝がどんな葬儀会社を求めているのか、その基準が⾔語化されていないケースが多いです。安ければ良いという話ではない。「親戚が集まりやすい」「駅の近く」という場所条件も重要です。場合によっては「叔⺟がマナーを重視するので、対応が的確な葬儀社がよい」という機微な条件もあります。これら「直接は⾔いにくい話」を、いかに柔らかく、確実に聞き出すか。弊社の事業では、この電話対応の技量がきわめて重要です。

接客技術を向上させるためにKIを導⼊

今回、KIを導⼊した⽬的を教えてください。

今回のKI導⼊の⽬的は「コンシェルジュの接客⼒」を底上げして、「第⼆コンバージョン」を増やすことです。「第⼆コンバージョン」とは、弊社の成約プロセスの3番⽬「コンシェルジュが葬儀社や斎場をご案内する」に相当するものです。

  • 1ポータルサイトに見込み顧客を集める
    (集客)
  • 2見込み顧客から、お問い合わせをいただく
    (第一コンバージョン)
  • 3コンシェルジュが葬儀社や斎場をご案内する
    (第二コンバージョン)

第⼀段階の「ポータルサイトへの集客」については、SEO改善やリスティング広告など⼀通りのことは実践中であり、PDCAが回せています。ここにデータ分析を導⼊しても、ドラスティックな改善は⾒込みにくい。むしろ⼀⾒すると、地道な「第⼆コンバージョン」の改善のほうが、のびしろが多いと考えました。

実は、お客様から電話をいただいた場合でも、必ずご希望に沿った葬儀社や斎場のご紹介ができるとは限りません。コンシェルジュが、上⼿くお客様の要望を引き出せず、そのまま電話が終わってしまうこともあります。これは⾮常にもったいない。
中には、⾼確率で第⼆コンバージョンを獲得する、スーパーコンシェルジュもいます。しかし個⼈の職⼈芸に頼りきりでは、全体のレベルを底上げできません。「顧客対応マニュアル」「接客研修」も実施していますが、まだ⾜りない。ここで着⽬したのが「接客内容のデータ分析による、全体レベルの底上げ」でした。

具体的には「コンシェルジュと顧客とのコンタクト内容」「顧客が電話をかける以前にホームページ上で取った⾏動」などをデータ化し、分析する。それら分析を積み上げる中で、「こうすれば⾼確率で上⼿くいく」「こうすれば⾼確率で上⼿くいかない」という傾向をつかみ取り、それを50⼈のコンシェルジュにフィードバックしていき、全体のレベル向上を⽬指します。

BIでは上⼿くいかない。

鎌倉新書ではすでにBIを導⼊済みと聞きました。接客分析もBIでやろうとは考えませんでしたか。

それは考えませんでした。BIとKIはまったく別だからです。
BIは「全社員向けKPIダッシュボード」の作成に使っています。問い合わせ数、Webアクセス数、紹介数、成約数、売上、粗利など各種KPIを、社員全員が⾒られるようにしています。更新は⽇次。上⼿く使えていると思います。
BIは、予定と実績の乖離状態を「⽰す」ためには有効です。しかし、予実の乖離を埋めるための企画や施策を「考える」ことには向いていません。従来、企画や施策は現場スタッフが、経験とカンで考えていました。これからは、無仮説でデータ分析し、顧客の傾向を⾒いだした上で、それに基づいて企画を⽴てていきたいのです。
この企画⽴案そのものを「属⼈発想(個⼈だのみ)」から「データドリブン」にしたい。その⽅法論が⾒つかれば、接客強化だけでなく、社内の他の課題の改善にも応⽤できます。こうした問題意識を持っていたとき、KIの存在を知りました。「施策指向のデータ分析」というコンセプトは興味深い。セミナーに出席し、その後、デモに来ていただきました。

KIへの評価

デモを⾒ての印象は。

まず「無仮説で分析する」というコンセプトが良い。仮説優先では「意外な発⾒」ができません。それでは意味がない。KIは、特定変数の最⼤化に影響度の⾼い他の変数を導出する、という仕様であり、これは「評価せずに案をひたすら出す」というブレーンストーミングに似ています。いわば「⾃動ブレスト・システム」。とても便利です。また「汎⽤性の⾼さ」も魅⼒でした。施策指向の製品は、「Web施策⽴案システム」のように、⼀分野に特化した物が多い。しかし私たちは、将来、他の経営課題解決にも応⽤できるような、「汎⽤性が⾼いシステム」を求めていました。この他、ハンズオンでの操作トレーニングや分析相談会など、キーエンスのデータサイエンティストに、伴⾛してもらえるのも⼼強く感じました。
上層部には「まず接客⼒向上という⽬の前の課題解決に役⽴つ」「汎⽤性が⾼いので、会社の他の分野の課題解決にも役⽴つ」「BIとは根本的に違う」「キーエンスの導⼊サポートがある」など伝え、導⼊にこぎつけました。

先⾏ユーザーとしてのアドバイス

KIを導⼊検討中の企業に向けて、先⾏ユーザーとしてのアドバイスをお聞かせください。

「企画から属⼈性を無くしたい」というと、「コンシェルジュ各⾃の(=属⼈的な)改善努⼒よりもデータを優先する」と聞こえますが、それは違います。企画とは、つまり、「どこを狙うか」を⾒つけることです。「どこを狙うか」を間違えると、部⾨全体が全速⼒で明後⽇の⽅向に⾏ってしまう。データ分析を駆使して、⽬標結果に最も影響の⾼い変数、つまり「的確な⽅向」を⾒つけ、そこに対してコンシェルジュ各位が思いっきり⼯夫する。そんな状態を実現したいと考えています。
鎌倉新書では引き続き、データ分析⼒を向上させ、顧客価値を向上させたいと考えています。
キーエンスにはそれら弊社の取り組みを、優れた技術、商品、サポートを通じて後⽅⽀援いただくことを希望します。今後ともよろしくお願いします。

株式会社鎌倉新書

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