2、3年前まで、新聞広告を⾒たお客様は、広告に記載されたフリーダイヤルに電話して注⽂するのが通常でした。新聞広告の効果測定は、電話⼝でオペレータが商品番号を聞けば、「いつ、どの新聞に出したどの広告を⾒て、電話が来ているのか?」が正確に分かります。従って、正確な効果測定が可能でした。
しかし、ある時期から、新聞広告直後の電話の件数がガクッと減ってきた。⼀瞬、「え、新聞はもうダメ?」と思いましたが、実は新聞とネットのトータルの売り上げは変わらない。どうやら新聞広告を⾒た後、スマホでECサイトにアクセスして買っているようなのです。
⼀般的に「⾼齢のお客様はネットよりも電話を好む」と思われています。確かにシニア層「全体」ではそうかもしれません。しかし「通販でお買い物をされるシニア層」に絞ると、みなさんアクティブで、ネット利⽤率は⾮常に⾼いようです。
これを裏付けるもう⼀つの事実があります。実は弊社のDVD販売では、「そろそろスマホ」が安定的にベスト10⼊りしているのです。これは、スマホは初めてというお客様向けに、使い⽅の基本をわかりやすく丁寧に伝えるという、シニア向け番組です。このDVDが不思議と良く売れます。
興味深いのは、このDVDを毎年買ってくださるお客様がいらっしゃることです。スマホは毎年、新機種が出るので、合わせて番組も毎年制作します。そのお客様は、新機種に買い換えるのに伴って、ご⾃⾝の知識をアップデートするためにDVDも買い直してくださっているようです。
株式会社NHKエンタープライズ
NHKエンタープライズ エグゼクティブマネージャー 松井 妙⽒、ビデオ事業 副部⻑ 百々海 学⽒に、KIを導⼊した⽬的と経緯について詳しく聞きました。
「いま、新聞広告をご覧になったお客様が、ECサイトを訪問しているように見受けられます。KIを使って、真相を調べていきます」
株式会社NHKエンタープライズについて
株式会社NHKエンタープライズは、NHKの番組をはじめとする映像コンテンツの制作、DVD・ブルーレイの企画・販売、イベントの企画・制作、番組・キャラクターのライセンス許諾などをおこなっています。
従業員数 | 約565名 |
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年商 | 591億円 |
※この事例に記述した数字・事実はすべて、事例取材当時に発表されていた事実に基づきます。数字の一部は概数で記述しています。
データ分析の取り組み
NHKエンタープライズでは、データ分析にどのように取り組んでいますか?
弊社には、⻑年にわたるお客様とのお取引の歴史があります。しかし、販売データを分析しきれていないため、お客様へのサービス向上に活⽤できていません。KIは、データ活⽤によって業務を効率化し、顧客サービスをより⼀層向上させるために導⼊しました。
通販部⾨の概要
NHKエンタープライズ ビデオ事業(映像コンテンツ販売部⾨)の概要を教えてください。
DVD、ブルーレイなど映像コンテンツ通信販売の概要は次のとおりです。
- ●主な顧客は、「60代以上のシニア層」「30〜40代の主婦層」「30〜50代男性サラリーマン層」。
- ●販路は「新聞広告」「ECサイト」「カタログ」の3種。
- ●新聞広告は年に5回。全国紙、地⽅紙に出稿。
- ●カタログは商品発送時に同梱。その後も不定期に送付。
- ●新聞広告、カタログでは「⾵と雲と虹と」「篤姫」など懐かしの⼤河ドラマDVDがよく売れる。シニア⼥性には「100⽇の郎君様」など韓流ドラマも好調。
- ●ECサイトは「NHKスクエア」というサイト名で、⾃社サイトのほかYahoo、楽天、Amazonに出店。
- ●ECサイトでは「おかあさんといっしょ」「チコちゃんに叱られる!」が好調。その他「アシガール」「トクサツガガガ」「これは経費で落ちません!」などの⼈気番組も堅調。
- ●ECサイトは、20年を超える歴史がある。最初は新聞広告とカタログを通じてVHSビデオテープの通信販売をしていた。
DVD・ブルーレイ通販の販促媒体は、新聞・カタログなど「紙媒体」と、ECショップ・ネット広告・SNSなど「Web媒体」の2本柱です。従来は、「紙は紙、WebはWeb」と、別々のものとしてプロモーションをしていました。
しかし、ここ数年、紙媒体をご覧になったお客様がECサイトを訪問されているように感じています。
新聞広告とECサイトの⼀体化
「紙媒体とECサイトを⾏ったり来たりしている」とは具体的には?
その他、次のような現象もありました。
- ●「朝刊にキャンペーンを掲載すると、なぜか夜にSNSで拡散される」
- ●「SNSやECサイトで告知しているキャンペーンを新聞広告に掲載すると、アクセス数・リツイート数・フォロワー数が伸びる」
- ●「20〜30代⼥性のお客様のお話によると、『新聞は取っていませんが、新聞広告は会社で⾒ます。ランチのときに皆で新聞広告を机の上で広げて⼀緒に⾒て、気になる商品は友⼈におすすめすることもあります。』というエピソードがありました。
どうやら、新聞広告とネット広告でメディアミックスが発⽣しているようです。しかし、それはいまだ仮説に過ぎない。ここまで「ようです」「らしい」など仮説や推測で語ってきましたが、データ分析を通じて何とか真相を知りたい。過去10数年間の貴重な販売データをもっていますが、従来はこのデータを的確に分析できていませんでした。
データ分析の障壁
なぜ上⼿く分析できなかったのでしょうか?
原因は2つあります。「データ形式が的確でない」「データが統合されていない」の2つです。
まず、「データ形式が的確でない」という問題。⼀例をあげると、弊社の基幹システムの⽣年⽉⽇データは和暦、つまり⼤正、昭和、平成で区分しているため、データを変換する⼿間がかかります。分析に不適なデータ形式がいくつか存在していることが1つ⽬の問題です。
ただ、さらに重⼤なのが2つ⽬の「データが統合されていない」という問題です。弊社には、「顧客」「伝票」「明細」の3つのデータが別々に存在しています。もちろん、理論上はこれらのデータを統合することが可能ですが、実際にはあまりにデータ量が⼤きいため、統合できていませんでした。これまでは、分析対象のデータ数を極端に絞って分析を進めるしかありませんでしたが、このような状態では、個々のお客様にとって最適なサービスやプロモーションは何なのか、という本質的な問題を解決することはできません。
このように、「データ分析の前準備」に⼤きな課題を抱えていました。特に通販部⾨は、制作・広告・在庫管理などの業務を数名で回しているため、分析に多くの時間をかけることもできません。データはあるのに分析ができない、でも何とかしたい、このジレンマに悩んでいたとき、展⽰会で出会ったのがKIでした。
KI導⼊の経緯
KIの印象はいかがでしたか?
会場を歩いていると、向こうに⿊⼭の⼈だかりができている。何だろうと思って近づくと、KIのブースでした。⼀通りの説明を聞いて、これなら⾃分たちに役⽴ちそうだと思えました。
とにかく興味があったので、会社にデモに来てもらいました。デモには役員や他部⾨も含め10数⼈が参加。データを投⼊して、切り⼝を決めてボタンを押せば、さまざまな結果がすぐに表⽰されます。使いやすそうだし、おもしろい、ワクワクする。他部⾨の⼈も、「もしかして在庫管理に使えるかも」、「データを使えば商品開発のヒントが得られそうだ」など関⼼を持っていました。KIには『巻き込む⼒』があると思いました。
また、KIは「データの下ごしらえ」に強いと感じます。最⼤の課題だったデータベース間の相互ヒモ付け、データ統合があっという間。さらに、困っていた和暦変換の問題も、最初に1回、別テーブルを噛ませるだけで、あとは労⼒なく⾃動変換される。その他、KIを使えば分析以前の「細かい下準備」が⾃動化できます。このツールを使えば、今後、お客様ひとりひとりにとって、本当に必要なサービスや商品は何なのかを、効率的に⾒つけていく⼿がかりがつかめそうだと感じました。
今ある課題をダイレクトに解決できる。これなら導⼊して役⽴ちそうだと社内で協議して導⼊を決めました。
今はまだインストールしたばかりですが、これからどんどん使いこなして、お客様の⾏動をよく分析し、お客様の本当の動きをよく知り、よりお客様本位のマーケティングを展開していくつもりです。きっと今まで⾒たことのなかった景⾊が⾒えるはずで、今からとてもわくわくしています。
株式会社NHKエンタープライズ
「いま、新聞広告をご覧になったお客様が、ECサイトを訪問しているように見受けられます。KIを使って、真相を調べていきます」
3分でわかる「KI商品紹介資料」
KI(データ分析ソフトウェア)の商品概要、特長、活用事例などをまとめた資料です。
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